01.初夜
「私は嫌じゃないし、むしろありがたいけど」
「一生、しないっていう選択肢もあるよ」
「浮気するの?」
「しないよ、たぶん」
また胃の奥が痛む。
披露宴のときにちらりと見えた、あいつの寂しそうな表情が脳裏に翻る。
「それとも」
真司の瞳を覗き込み、すみれは悪戯っぽく笑う。
「親友に似た女は抱けない?」
にやりと笑う彼女はとてもかっこよかった。
そして、泣きたくなるほどあいつにそっくりで、真司は改めてすみれがあいつの従妹であることを思い知った。
「あまり馬鹿にしないでほしいね」
「ふふ。真司さん、大好き。あと、直接的な表現を避けた方がいやらしい」
「……気をつけるよ」
今日から、家族になろう。