In front of you.
「俺、ミサ行きたいなんて言ってない」
「俺、秀と一緒に居たくない」
秀の言葉に振り向き負けじと言い返し、紅葉の腕を取って駆け出した。
秀は追ってこなかった。
バス停に着き、荒い息のまま紅葉と睨み合う。
紅葉は何か言いかけていたが、それが音になることはなかった。
「楽しみにしてたのに」
「……」
「俺もだけど。秀ちゃんも。志岐ちゃんは違うの」
紅葉の視線が紙袋に固定されている。これは、そんなのではない。ただ、礼儀として、そう、義理で持ってきただけだ。
「迎えにいってよ」
「紅葉から、渡して。俺、帰るよ」
「ニューイヤー!」
紅葉が叫んだ。