In front of you.
「ないよ。すみれちゃんにメロメロだからね」
妹の名を出し、にこりと笑った紅葉がすっと瞳を細める。
「お願い」
「どうしてそんなに拘るかなあ」
「秀ちゃんの家、来てね。8時集合だからね」
「なんでそんなに早く……」
「ミサに行くからに決まってるでしょう」
教師が来て、紅葉は自席に着く。
パーティを繰り上げるんじゃなかったのか、とか、俺の気持ちは無視かよ、とか。
言いたいことは、授業中にすべて忘れてしまった。
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通知表のクラス順位を確認し、志岐は制鞄にそれをしまう。まあまあの出来だった。