In front of you.
保健室在室証明書を受け取り、志岐が扉を開けた。
閉めた。
開いた。
秀が、いた。
あれくらいの扉だと、秀には聞こえてる。
しかし、昨日のような侮蔑はその瞳にはなかった。
「なんでいるの」
「俺が行かないなら紅葉が行くって行ったから。早めに終わったし」
「紅葉のほうがよかった」
「すみれちゃんにうつしてもいいのか」
「しばらくはきみの家にいるんだから、無事でしょ。邪魔、どいてよ。俺は教室に戻る」
しかし秀は動かなかった。
「謝れよ、俺に」
「なんで。謝ってほしいのはこっちのほうだよ。健康被害を受けてる」
胃に、拳がめり込んだ。