In front of you.
昼休み終了のチャイムが鳴る。
「志岐ちゃん!?」
背後から紅葉の声が聞こえる。
脇に誰かの腕が入る。
「大丈夫だから」
なにが、と聞き返そうとした。
保健室の扉が見えた。
確かに、大丈夫だと思った。
秀の声を聞いた後、志岐の記憶はない。
*****
目が覚めると、清潔感のある天井が見えた。
少し体を起こすと、仕切り代わりの蛇腹に囲まれていることがわかった。
保健室だ。
足元に揃えられていた上靴を履き、大きく伸びをする。
だるさはすっかりと取れていた。
腕時計を見ると、5限の半ばだった。