In front of you.
つられて顔を上げると、傲岸不遜な幼馴染が志岐を睨んでいた。
「きみには関係ない」
掴まれたままの左手首を捻ったり振ったりするが、秀の手は外れない。
「行くぞ」
「いやだ」
互いの視線で、火花が散った気がした。
秀が一瞬、目を伏せる。
再び志岐を捕らえたそれは、もう何を言っても引かない鋭さを放っていた。
「俺や紅葉にうつす気か」
だったら、昼休みは呼び出さずに強制送還すればよかったのに。
噛み締めるように吐き出された自己中心的な言葉に、志岐は耳を塞ぎたくなった。
しかし、気づいてもらえてほっとしたせいで、一気に頭痛がひどくなりそれは適わない。
もう、絶対、絶交だ。
かくなる上は。