In front of you.
「責任もって、振られろ」
「なんで。俺が振るからおもしろいんだろう。それに、末永くうまくいくって可能性も考慮しろよ」
「ありえない。きみなんかと付き合おうとするんだから、きっと相手の方の度量は広いんだろうね。ついでにストライクゾーンも。だけど、だめ」
「ちょ、ひどいなあ。俺、彼女とはバレンタインまで付き合うけど、志岐も大事にするぜ」
「気持ち悪いッ!」
佐田が言うと冗談に聞こえない。
ただでさえここは男子校なのだ。
ホモという噂が立ったが最後、学園の中で社会的に抹殺され、あと4年間は地獄が約束されている。
志岐が本気で悲鳴を上げると、佐田が「嘘だって!」と慌てて付け足したが、志岐はじとっと佐田を睨む。