In front of you.
時間があると、ろくなことがない。
秀に苛立ち、距離を置いた。
長引くと思ったのに、秀から離れてくれるなんて、願ってもないことだ。
だから、喜んでもいいのに。
排除しようと思ったのに排除された悔しさが消えない。
それに、このままではただの逃げで終わってしまう。
それは、古沢志岐ではない。
今、トイレでみっともなく吐いている自分を嘲り、志岐は笑った。
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翌朝、寒気と頭痛でだるい体を叱咤し、遅刻ぎりぎりで教室に滑り込んだ。
紅葉の心配そうな視線に頷き、あからさまに無視する秀に気づいて頭に来た。
「珍しいな」