What's the matter?
兄たちがそうと決めたのなら、四葉は従うしかない。
せめて惣弥を甚振ってやろうと、苛立ちを押し込めた視線で惣弥を射抜けば、惣弥は初めて一歩後ずさった。
「自警団長はきみ。好きにするといい。ただし、夜は私のもとへ返せ。意味はわかるね」
惣弥は黙って一礼した。
「下がっていい」
静かに閉められた扉を四葉はなんの感慨もなく見つめる。
気が弱いくせに剣の腕が立つ。深水を凌ぐその技量も、あと数年経てば深水が越すだろう。
そのとき護衛がどんな顔をするかが楽しみだ。
「四葉さま。戻りました」
護衛の声がして、ああ、と小さく返事をする。
執務室に行かなくてはならない。
領主補佐である長兄と領主である四葉の目的が達せられる日も近い。
だから、それまでの我慢だ。