四季の都 | ナノ

What's the matter?

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 朝、起きたらいつも扉の外に感じるはずの護衛の気配がなかった。
 隣にいたはずの耕造もいない。
 窓から外を見下ろすと、既に自警団の走り込みが始まっていた。
 列の先頭を走っているのは護衛、後ろから追い立てているのは長兄の大空と弟の深水だ。
 耕造の姿を探すと、列の中ほどをのんびりと走っているのが見えた。
「……寝過ごした」
 ありえない事態に四葉が呆然としていると、扉が叩かれた。
「領主さま。惣弥です」
「入れ」
 しかし、護衛の数少ない友である惣弥は扉を開ける気配がない。訝しく思い、剣も持たずにうっかり開けてしまった四葉はやはりどこか調子が狂っていたのだろう。
 その向こうにいたのが一礼したままの惣弥でなかったら、首が跳んでいたかもしれない。
「――どうしたのかな」
「耕造のことで」
「勝手に自警団に入れたこと?」
「はい」
 ぐいと乱暴に惣弥の頭を挙げると、いつもの気弱な様子からは考えられないほど固い意志を秘めた瞳とかち合った。
「私はあれを見習いにしろと風月に言ったんだよ。謝りにくるくらいなら、なんで来たのかな。それも、お前が」
「領主さま。耕造を見習いになんてもったいないです。あれはすぐにでも戦力になる男です」
「惣弥」
 一息に言い切った惣弥は四葉の不機嫌な雰囲気にも怯むことがない。
「お前はあれが私の愛妾だと知って、そうしたのかな」
「はい」
「私の命を狙った者であることも?」
「風月さまから、聞き及んでおります」
「それでもあいつを戦力として認めるのかい」
「認めるのは領主さまですが――ぜひとも、耕造を自警団に」
 ふいと視線を再び耕造へやる。へばっている様子はない。
「越権だね」



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