図書室の主 | ナノ

本編

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 テレビのチャンネルを切り替えながら、暁は夕食の献立をぼんやり考えていた。

 さっきテレビで見たハンバーグでもいいし、コロッケが食べたい気もするし、でもカップ麺で妥協できなくもない。

 さあどうしようかと首を回せば、ケータイがメールの受信を告げて慌てて手に取る。

 滅多にメールなんか送らない悠太だけの着信音に、なにかあったのかとメッセージを開けば素っ気ない文が表示される。


【コロッケ 18:30頃】


「ちょっと、間に合わないかもね……」


 外し忘れた腕時計が示すのは17時42分。

 ぼやきつつ、本人を目の前に言おうものなら間に合わせろと真顔で言うに違いない。

 まあ、そんなところも――。その先を言いかけて、言えない。

 心の中でさえ言えない自分を嘲笑いつつ、財布を手に取った。
 

おわり。



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