図書室の主 | ナノ

Lovely days

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 3人とも、どちらの祖父母にもよく懐いていた。
 伯父が葵たちを構っているとき、伯母に手招きをされた。
「真司さんのご両親とも話し合ったの」
 渡されたのは彼へのお見合い写真と釣書。
 忘れられない過去の記憶に震える恭介へ伯母は誠実に語る。
「できれば、後添いを迎えてほしい。あの子たちのためではなく、真司さんのために。そして私たちも、そろそろあなたに幸せになってほしいのよ。葵くんたちのお世話であなたの一生を潰せない」
「私は好きでやっています、伯母さま」
「ええ。だけど、あなたの幸せはもっとあるはずなの。年寄りのわがままよ。本当はあなたにもお見合いの話はあるの。でも、あなたはあの子たちを置いて自分だけ結婚しようとは思わないでしょう。――優しい子だもの」
「伯母さま」
 彼女たちにこんな気を遣わせて申し訳ない。
 もうそろそろ潮時だ。すみれを失ったときの哀しみの中で突きつけられたものとは違う。
「必ず、真司に渡します」
 決意を秘めた恭介の瞳に、伯母は心配そうに微笑んだ。

*****

「後添いを迎えてください。これは、伯父さまと伯母さまのご意思です」
 ダークスーツを脱がずにごろりとベッドに転がった彼を無理矢理起こした。
 いつになく真剣な恭介に、彼は皮肉っぽく口端を上げた。
「お前は?」
「もちろん俺も、真司の幸せを願っているよ」
「なら、必要ない。俺からお義父さんたちに返す」
「……なんで?」
「なんで?お前が訊くのか、それを」
 冷笑を貼りつけた彼が怖い。
「すみれの身代わりであるお前が、それを言うのか?」
「ねえ、真司いったい何を――」
「そうだ、どうして気付かなかったんだろうな」
「……やだ、真司、嫌だ――ッ!」
 唇を奪われたことがショックで。体を暴かれたことが信じられなくて。



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