書庫整理中
開会宣言、議長団入場と承認、部活の予算申請と承認、委員会の活動報告と質疑応答、提案者による議案の説明、質疑応答、多数決、議長団退場、閉会宣言。
まともにやろうと思ったら二時間じゃ足りないこれらは、歴代の生徒会長と放送委員によってなんとか進行されてきた。
委員長席に座って、ベルマーク委員長の活動報告を聞いていた恭介はもう一度原稿を見直す。
恭介の考えた、とっておきの案は彼の耳に絶対に入ってないと断言できる。
活動報告に関する書類は高校と中学の副会長が担当していると聞いた。
この案を彼は、喜んでくれるだろうか。
「図書委員長、二年六組樋山恭介」
「はい」
返事し、壇上で一礼、マイクを調整する。
講堂内をぐるりと見渡すと、全校生徒が集まるだけあって迫力がある。
生徒会執行部席にいる彼の姿は見えない。
昨年の活動報告を言い終え、今年度の予定について話すときは少し手が震えた。
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みなさんは、毎月五百円を本代として学校に収めていることをご存知ですか?
年間六千円、ここは中高一貫ですから、六年で一万二千円となります。
それらのお金を遣って、図書委員顧問の原口先生と教務主任の村岡先生が生徒のためになる本を毎月、購入してくださっています。
私は、中一から図書委員を務め、図書室を見てきましたが、ごく少数の生徒のみの場所となっていることに疑問を感じておりました。
図書委員は、学園祭の古本チャリティーバザーのときのみ活動し、曝書が行われているのも入学以来見たことがありません。
そこで今年度は四つの試みを行います。
ひとつめは、学年文庫の設立です。
各クラスに設置されている本棚に、毎週図書委員が本を入れ替えますのでどうぞ手に取ってみてください。各クラスローテーションで回すので、きっと話題も増えると思います。
ふたつめは、秋の読書キャンペーンです。
通常三冊までの貸し出しを十冊まで、期間を二日から二週間に延長します。
みっつめは、長期休暇中の曝書ボランティアを募ります。
曝書と言うと堅苦しく聞こえるでしょうが、実際は本の日干しです。
みなさん、本の日干しなんてやったことがないと思います。この際、ぜひ本を手に取ってみてはいかがでしょうか。
よっつめは、図書委員の常駐です。
今まで、図書室の利用者があまりにも少なかったことから、本の貸し出しは事実上、行われてきませんでした。
そこで、毎日昼休みと放課後、図書委員ふたりを常駐し、貸出手続きを行います。
みなさん、この機会にどうぞ図書室に足を運んでみてください。
以上です。
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湧き上がる拍手を聞いてほっとした。自分でも何様だと思いながら書いた原稿を実際に見ることはなく、ただ手のひらの汗を吸っていた。