図書委員の日常
最終下校時刻間近の2Cへ忍び込む。
中2の階の電気は落とされていて誰もいないから安心して調べられるけれど、戸締りを確認しにきた教師たちの目に触れると少しだけまずい。
まずは緒方の机を調べる。至って普通。特に傷がついているわけでもない。予想通り。大人の目につくことをやるはずがない。
廊下で彼のロッカーを観察。へこんでいない。心の中で彼に謝って、ロッカーを開けた。――何も入っていない。
閉じて、ロッカーの扉に額をつけて息を吐いた。気分が悪い。
帰り際、下足室の彼の棚を見る。他の人は置いている運動靴が、彼のところだけない。
「――もう十分だ」
そっと呟き空を見上げたら藍に染まりゆく様がなんとも禍々しい。
いったい、何がどうなっている。
もしかしなくても、2C全体がグルなのか。――亮介と寛樹も?
表面上穏やかな2Aにいる樋山は頭を軽く振ってその考えを追い出す。
あのふたりだって人間だ。そんなことだってあるだろうけど、でも信じたい。
「亮介。寛樹。瑞樹。教えてくれ。まったくわからないんだ」
当然のことながら返事はない。
明日、彼に会いに行こう。
おわり