02/18(Tue):VocalSoul
ヒサの独白
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先輩方が、好きで好きで仕方がなくて。
でも、ホモなんて気持ち悪いだけだから。
それを許してくれそうな生贄だけを、表面上、愛した。
生贄の顔を見ながら僕は、先輩方のことをいつも、思い浮かべていた。
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好きだってバレちゃいけない。
いや、同性が、男が好きってバレてもいいけど。
『先輩方のことが』好きだってバレちゃいけないから。
生贄のきみに囁く。
半ば、見せ付けるように。
「ショウちゃん、愛してるよ」
それを裏返すと、『先輩方のこと』は、愛していないということ。
尊敬してます。
大好きです。
それ以上は、許されない。
赦され、ない。
愛したかった。
でも、できなかった。
もう、目の前で、壊れていくのを、見たくない。
本当は、先輩方ですら、愛していたわけではなかった。
好き、だったけど。
所詮、あの子の代替。
だけど、行き場を失った僕の愛は、誰か、注ぐ相手を求めていた。
先輩が好きなんじゃない。
先輩方が、好きだった。
ひとりに向けたら、壊れることは、わかっていた。
だから、みんなに、あげる。
僕を愛さなくていいから。
愛させてください。
ひとりは嫌だ。
退屈なのも、嫌だ。
夢中になっても、いいですか。
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好きだってバレちゃおしまい。
だったら。
嫌いなふりするしかないじゃないか。
発言に眉を顰め、声を掛けられたら顔を背け。
素直でいることは、罪だった。
感情が、そのまま溢れてしまったら。
好きだという想いが、際限なく、僕の心を食い荒らす。
だから僕は、歯を食いしばる。
力を込めて、嫌いだと、言う。
嘘ではありません、先輩方。
僕の想いを封じるあなた方が、
――大嫌いです。