Memo | ナノ


12/17(Tue):思いつきログ

思いつきログ
2013.09.23.-2013.12.12.

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12/12(Thu):思いつき

思いつきでミツルとヒサ
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「え、お忙しいのですか」
 本当に驚いているヒサをひと睨みするが、効いてないことはわかっている。
 どうせ茶化されて終わりと半ば諦めながら後輩をそっと見ると、ぎゅっと眉間に皺を寄せていた。
「では、いいです」
「……え?」
 なんだかいつもと違う展開だ。
 違和感にミツルが戸惑っていると「間抜け面ですね」といつもの嫌味が飛んできた。






12/06(Fri):思いつき

ヒサとショウちゃん
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知ってる。
ヒサが図書室で切なそうにショウを見つめていること。
ショウが微睡んだとき、恐る恐る髪を梳く指。
「愛してるよ」とふざけた中に隠れた本気。
ねえ、俺はきみの王子様になれる?
自身を甘く包む視線の先に触れたくて、ショウは少し手を伸ばす。
「ショウちゃん?」
心配そうな声に、たまらなく安堵した。
ヒサを腕の中に囲う。
――俺、守るよ。
年上の後輩として、全力できみを守ろう。
だから。
きみは子どものままでいい。
その正義をどうか貫いて。





11/28(Thu):思いつき

思いつきの秋一さんと真司さん
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 どうして、敢えて、後味の悪い、後ろめたい選択を重ねるのか。
 そのときは、最良だと、僕は信じていたのに。
「説教はいらない」
 冷えた瞳の数少ない友人の掴む胸倉は、僕のもの。
 鼻先が触れ合うほどに近い瞳。
「幸せを定義しよう」
 秋一の唇から零れた声は、場違いなほど爽やかだった。
 理系のお前らしい、と吐き捨てられ、投げつけられた辞書はぼろぼろ。
 文系のお前らしい、と秋一が呟けば、真司は皮肉っぽく笑う。
「僕はこんなに辞書を使わなかった」
「俺もだ。これは、兄のだ」
「……へえ」
 意外だった。
 あの、勉強しないけどデキる奴オーラを放つ人だということしか知らない。
「お前は? 貫く?」
 雰囲気、身長、表情、知らない人が見たら兄弟と間違えるくらい、似ている僕たち。
「……わからないよ」
 問いかけたのが自分だったのか彼だったのか。
 答えたのが自分だったのか彼だったのか。
 わからないほどに、境界を曖昧にするほどに親しんだ僕たちだから。
 鏡にくっつけるみたいに、互いの手と手を合わせて、顔が近づき、鼻が、唇が、触れ合う。
 息を詰めて、そして、真司の瞳が面白そうに細められた。
「これは、浮気?」
「違う。ひとつになっただけだ」
「その言い方はエロい」
 瑞樹よりも、僕の心の近くにいるこいつは、ある意味最良の選択をする。
 僕は、最悪の選択をするのかもしれなかった。
 神さま。
 どうか僕らに祝福を。

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 旅の途中改訂版。






11/26(Tue):思いつき

思いつき。
瑞樹と秋一。
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 ドンッ、と机を力任せに叩く音。
 驚いた瑞樹が振り返ると、怒りを隠そうともせずに秋一がこちらを睨みつけていた。
 放っておくか、慰めるか。
 逡巡している間に、秋一がふたつ折りにした新聞紙を振り上げてきたので咄嗟にかわす。
「あのー、秋一?」
 無言。
 まいったな、今日は心当たりがない。
 などと呑気に思う間もなく、次々に振り下ろされる紙と言う名の凶器。
 紙と侮ると、結構痛い。
「僕は」
 主語を口にするなり絶句した親友は、そのままぼろりと涙を零した。

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 最近、長い話が思い浮かばないのですごめんなさい。






11/22(Fri):思いつき

思いつきー。
真司とすみれちゃん
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「今日はいい夫婦の日なんだって」
 玄関で迎えてくれた妻はにこっと笑った。
「……すみません」
「なにが?」
「早く帰って来れなくて」
 一瞬、きょとんとした顔が本当に愛おしく、しかし抱きしめるなんて器用なこともできない真司は内心、焦っていた。
「……ふふっ」
 徐々にすみれの頬が綻んでいくのを、真司は呆然と見つめた。
「ああ、ごめんなさい。その、なんていうのかな」
 自然な仕草で真司の首に腕を回す彼女はくすくす笑ったまま。
「寂しいけど、茜たちがいる。私は今は子育てに、あなたはお仕事に勤しんで。あの子たちが大きくなったら、たくさん、一緒に過ごそうよ」
 だめ? と少し自信なさげに問うてくる瞳が、あいつに被ってみえて、真司は慌てて首を振る。
「そうですね。私も、もっとふたりの時間が欲しいです」
「でしょう!?」
 ぱああっと明るくなった表情。
「ねえ、真司くん」
「はい」
「お帰りなさい。あと、いつもありがとう」
 顔が見えないくらい近く、力強く、抱きしめてくれる彼女を抱き返して、真司はゆっくりと微笑んだ。

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 いい夫婦の日。
 





10/17(Thu):思いつき

思いつきで寛樹と亮介
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 早く起こせとでも言うように、天井へと伸ばされた腕。
 亮介はそんな寛樹の横に、彼と同じように転がっていて、寛樹を起こすには先に体を起こさないといけなくて、そして亮介はまだ寝転がっていたかった。
 ぱたり、と音を立てて腕が落ち、拳となって亮介の腹を直撃する。
 普通に痛かった。
「あのさあ、ヒロ」
 今更言っても無駄だとわかっている。
「お願いがあるなら、ちゃんと言葉にしなきゃだめだよ」
「お願いじゃなくて、命令。亮介に拒否権はないんだけど」
 そっと反対側の隣を見れば、恭介は寝たふりをしているし、瑞樹はこちらに背を向けているもののぴくぴくと震えている。笑うな。
 ちくしょう、おぼえてろよ、と心の中で悪態を吐き、亮介は立ちあがる。
「うわっ」
「ちょ」
 薄情な幼馴染ふたりの腹を踏みつけ、亮介は寛樹の脇に立つ。
 再び、天井へ伸びる手。
 寛樹は相変わらずの無表情。
「あのな、ヒロ。そろそろ、自立しなさい」
 がしっと掴まれる左足首。
「俺たち4人、一蓮托生だろう?」
 頭痛がしてきたのは亮介だけではないらしい。
 わざとらしく溜め息を吐いた恭介と、逃げるために起き上った瑞樹を視界の端に捉える。
「気分的には、呉越同舟だな」
 どちらにせよ、逃げられないことなんて、4人ともわかってる。





10/17(Thu):思いつき

思いつきで秋一と瑞樹
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 もうすぐ帰らなくてはならないのだとお互いわかっていた。
 ずっと、この場所に留まるわけにはいかない。
「あのさ、秋一」
 同じ高さにある瞳を呼びかけによってこちらへ向けても、彼は相槌を打ってくれるわけでもない。
「最後に、お願いがあるんだけど」
 学校指定のジャージは相変わらずダサいし、11月の夜の空気は冷たいし。
 それでも修学旅行という一種の熱が、もうどうでもいい気分にさせてくれる。
「ちょっとさ、一緒にサボってくれない?」
 驚いたように尖る唇は、次第に笑みを形作っていく。
「やっぱり、お前はずるいな、岸本」
「……え?」
「人を巻き込むんじゃない。後ろめたいことは、ひとりで抱え込め」
 とん、と背中を押された。
 振り返ったときには、彼は瑞樹に背を向けていて、その表情は見えない。
 ……なんだよ。
 好きだよ、って言ってあげてもよかったのに。






10/17(Thu):思いつき

思いつきでショウちゃんとヒサ
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「ねえ、邪魔」
 ふたりきりの部室。
 読書中であったショウの本を取り上げ、視線まで奪って、それでも不愉快そうにヒサは頬を歪めた。
「えーっと」
 延々とピアノをひとり占めしていたから、ひっそりと読書をしていただけなのに。
 この後輩が変人であるのは今更なので、ショウはとりあえず視線を逸らしてみた。現実逃避とも言う。
「だからショウちゃん、邪魔なんだって」
 ……出て行けと?
「この本、面白い?」
「まあ、それなりに」
「僕、これ嫌い」
「あ、そう」
「ショウちゃん、邪魔。目障り」
 時々壊れる後輩に手を伸ばした。
 膝を曲げ、腕の中に収まる後輩。
「……きらいだもん」
 幼子のように呟いたヒサは、ショウの胸に頬を擦り寄せた。

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 なんだか甘甘な気分だったのですよ。。。!





10/08(Tue):思いつき

気分転換に、ハロウィンまでに書き上げようと思っているもの。

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「お前、船を沈めてこい」
「――は?」
 間抜けな返事をした?(しょく)へ父王は苛立ちを隠そうともせずに言葉を重ねる。
「将来、海を治める者となるのだ。これ以上は言わせるな」
 衛兵ではなく、わざわざ?に汚れ仕事をさせることの意味がわからない?ではない。
 やっと一人前と認められようとしていることへの興奮で頬が紅潮していく。
「必ずや、やり遂げます。父上」
 妹に見つかる前に。
 彼女の憧れている人間たちの船を沈め、その上、死人まで出したらどれほど恨まれることか。
 満足そうに頷く父へ背を向け、?は準備をするために自室へと向かった。

 人魚が治める海の掟のひとつ。
 15の誕生日までは上の世界を見てはいけないというもの。
 妹がその日をずっと楽しみにしていたことを?は知っている。
 地上への憧れは次第に人間への憧れへと形を変えた。
掟破りと知りながらも、人間たちの落し物をこっそり拾って集めていることも知っている。
「ねえ、にいさま。もうどきどきして、つらいの」
「落ちつけ、流(ながる)」
 朝日の差し込む部屋で、妹は嬉しそうにくるりと宙返りをした。
「もう、いい?」
「だめだ。まだ日が高い。お前はかわいい。人間に見つかって、捕らえられたらどうする」
「大丈夫よ、逃げ切るから。ねえにいさま、お願い……」
 甘えた顔をしているが、彼女はそのときまでじっと耐えるだろう。
 わかっているからこそ、そのいじらしさに心が揺れる。
うっかり許可を出しそうになると、流はくすくすと笑って美しい尾びれをひと振りした。
「冗談です。今まで我慢してきたんですもの。あと数時間だなんて、あっという間。にいさま、わたしを甘やかしてはだめなんだからね!」
 興奮を宥めるように大きな泡をひとつ吐き、?の脇をすり抜けて、流は外へ飛び出した。
 その尾びれの先を見送り、?はくすりと笑う。
 自分の成人の日は、生憎の雨だった。
 初めて見た、地上と我らが海。
 陸と接している、なんだかざらざらしたところは砂という。
掬うと崩れていって、面白くて、でも妹に見せられないのが寂しくてすぐに離れた。
 傍を魚の群れが通り過ぎたときのような擽ったさは、風ということも知っている。
 手を動かしても、水が切れるような感覚が得られず、なんだか虚しくなった。
 あれから2年。
 ひとりでは寂しい上の世界も、妹と一緒なら楽しい気がして、?は目を細め、窓から水面を見上げる。
 背後から、視線を感じた。
「父上。入ったらどうですか」
「いや、娘の部屋に勝手に入るわけには……」
 海藻の向こうから聞こえる父王の律義な反論に、?は一度室内を振り返り、そのまま外へ出た。
「お待たせしました。流なら遊びに行きましたが」
「わかっている。衛兵たちも水上へ向かわせた」
 まったく、過保護なことで。
 茶化す言葉を呑みこんだが父には伝わったようで、じとりと睨まれる。
「今日は、この海で人間の王の船上パーティが行われるそうだ。夜だ」
 流を水上に出す日を変えろということか。
 しかし、父の表情を見る限り、そういうわけではないらしい。
「お前、船を沈めてこい」
 そして話は冒頭へ戻る。
 辿りついた自室で腕組みし、?は岩の壁に並ぶ手持ちの札を眺める。
 剣は毎日磨いてある。
 そして、この身の内にある力は――。
 そっと左手で喉に触れれば、苦笑が漏れる。
「おーい、?」
 海藻越しに幼馴染に呼びかけられ、息が止まりそうになった。
「どうした」
「俺も連れていけよ」
 海藻を掻きわけ招き入れてやると、幼馴染の男は唐突にそう言った。
 一瞬、父との会話を聞かれたのかと思った。
「とぼけるなよ。姫の成人の儀、今日だろう」
「貴様に流はやらん」
「えー、別にいいじゃんよー。高嶺の花に焦がれるくらい〜」
 実際、まともな婿候補はこいつしかいないけれど、?としてはこいつと兄弟になりたくない。
「ま、冗談は置いといて」
「……冗談だったのか」
「あったりまえだろ。姫は地上の男に焦がれていらっしゃるんだからな」

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ああああ、?の字が環境依存文字で表示できない。。。!?
「しょく」はサンズイに是です。
だけど、改名、するか。。。?





09/23(Mon):思いつき

思いつき。
図書室。
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 彼を待ち望むための世界は、少しだけ温かかった。
 拒絶を夢見た。
 愛されることに倦んでいたから。
 恵まれすぎているだなんて、嫌だ。
 世界は、少しだけ温かいほうがいい。

 彼がここにいることを知ったのは、随分と昔。
 だけど、直接会う気はなかった。
 この昼休みまでは。
 級友たちの悪意ある笑みと囁きにつられて足を運んだ図書室は、人の気配を殺す。
 彼を取り巻く者などいなかった。
 思わず息を潜めてしまう図書室で、彼は風景の一部と化していた。

 彼は笑うことを止めたのだという。
「俺は愛されたいわけではない」
 ひどく傲慢に聞こえる響きに、頬がひきつる。
 彼は冷めた目でこちらを射抜く。
 自分の考えを見透かされた気がした。
「お前、出ていけ」
 

 世界は少しだけ温かい方がいい。
 できれば、誰かを愛することによって色づく世界を夢に見る。
 きみを、愛したいんだ。

*****

 ねえ、お願いがあるんだけど。
 そう言ってにっこり笑ったら、諦めたような溜め息。
 それが返事だなんて、随分とつれない幼馴染だ。
「木曜の昼に」
「わかった」
 言葉を遮られた。
 珍しいこともあるものだ。
「ありがとう」
 礼を言っても読めない笑みを浮かべるだけ。
「道具はそっちで」
「もちろん」
 すべてお見通しってことか。


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