だって、大好き

「早く、急ぐの!」

桃色の髪を忙しなく揺らしながら、白亜の宮殿を感情の司は駆けた。
その左手にはカズナの手をしっかりと握られている。

足が縺れそうになるけれど、そんなこと言っている暇はない。
急がなければ、だって早く。
纏まらない思考の中、感情の司は一つ明確に認識していた。


カズナしか、助けられないと。

ねえ、『  』。
アンタはこれでよかったの? カズナに任せてよかったの?

勿論だよ、まぶたの裏に浅葱色の彼を見た気がした。



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テーマ「人外ファンタジー」
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