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おんなじ色
「貴方はなんで」
問い詰めたくて知りたかったのにグッと喉が悲鳴をあげた。
知るのが怖いんだ、無知のままでいれば、傷つかなくてすむから。
でもそれは満さんを裏切ることで、なによりも自分自身に嘘をついてるようでもあるから。
アタシとおんなじ色の目をもつ彼は悲しげに微笑む。
泣いてるんじゃないかって錯覚がおきるほど、ただ。
「僕にもわからない、けれど似ていると思ったんだ。君と僕は」
「無理して、笑わないでよ」
「無理してなければ壊れてしまうのさ、僕が壊れれば此処も壊れる」
カズナが出れなくなるだろう。
諭す柔らかな声に、涙がぶわっと溢れた。
一度決壊すれば抑えはきかない。
ボロボロととめどなくこぼれる塩辛い水を、彼はそっと指でぬぐった。
優しく頭に置かれた手のひらに、また涙腺が緩む。
こんなにも彼は温かいのに、もう生ある世界を生きれない。
もう、命の脈動を感じることができないんだと思うと、じわじわ何かが心を侵食していった。なんでこんな、どうしてどうして。
何もできないのが歯がゆくて、ただ無力だと突きつけられて。
「うあ、ひぐ、なんで、よお……」
「カズナ、」
たとえ止めることができるのがアタシしかいなかったとしても、この人をこんな寂しい場所に一人にするなんて不可能だった。
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