新月曰わく絶望を

目の前で不敵に微笑まれて、足が止まった。
どいて、今すぐ行かなくちゃいけないの。
それでも彼は笑ったまま動かなかった。


「何がしたいわけ」

「く、さあな。敢えて言うのなら、奴らには絶望してもらいたい」

奴らっていうのはきっと、彼以外の守護者とそして、創造者の。
彼はあることをして暗い虚無へと幽閉された。
そのことに対しての、復讐。
なぜ幽閉されたのかは知らないけど、浅葱色の彼が関係してることだけは知ってる。
とにかく足止めを喰らってる暇はない、託されたの彼に。
そして約束もした、絶対に救ってみせると。
正義の味方面なんかしたくない、ただの独りよがりでしかない。

アンタ、寂しいやつだね。
それを言えば新月色をした彼が怒りの矛先をアタシに向けることは容易に想像がついていた。
しかしだ、言わなきゃ何かがおさまらない。
自分は悪くないんだと意地を張るのが子供っぽい。


「お前に何がわかるか」

「知らないよ、知りたくもない」


自分が可哀想だとひけらかすやつの思考なんてね。


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