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けして見てくれなくとも
貴女が風雨に曝される浅葱色の花ならば、私は守る盾になろう。
たとえ貴女に触れる指が、貴女に近づく足が無くとも私の全てをもって貴女を守ろう。
揺らめくその瞳の奥、けして私は映らないのだろうと理解は出来ている。
だがそれが一体なんの障壁になり得るというのか。
貴女の口は私の名前を紡がない。
貴女の目は私の姿を写さない。
貴女の指に触れてもらえる体は私には存在しない。
私を通して他人を思うその心は、心臓ごと抉り出せば良いのか。
足の腱を切断し、白い手足を骨ごと折ってしまえば私は救われるのだろう。
脳髄の奥から深く染み渡る声に、何度この身を委ねようとしたことか。
貴女を愛しいと思い慕うこの魂こそが、私の存在した証なのだから。
私が貴女を何物からも守る盾となろう。
たとえ貴女が私をけして見なかったとしても。
『浅葱色の彼』の心情
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