もしももしもの

こんなの、ただ報われないだけじゃないか。
唇を噛みながら頬を伝う涙をアマヤはそのままにしておく、拭うことすら億劫なのだ。

己よりも小さな体は容易く包み込めるはずなのに、それはとても難しい。
無力無力、ただ。



「ミス・シンドウ……」

「やめてください、呼ばないで……っ」



期待させないで、もっと好きになって辛くなるから。

華奢な震える体を抱きしめたいと思うのは、正常なのだろうか。
出来るはずもないことを思案するなど愚者の行動だ。
誰かがスネイプの耳元で囁いた気がした。

君を愛している、喉まで出かかった言葉はどこで霧散したのだろうか。


|


back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -