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「だからぁ、京ちゃんと中学時代の元カレが休日に二人で会ってたんだよ!」
「なんだそりゃ」
 レミと相談して決まったことが、石川くんと吉川さんに相談するということ。
「それはねえだろ〜」
「いやほんとだってば!」
「うーん…」
「宮村くんに言うべき?」
 実際、僕も本当にあれが京ちゃんのもとカレかどうか疑ってはいる。だけど、あの雰囲気からして否定はしにくい。
 たとえ宮村くんに言ったとしても、京ちゃんに問いただす以外の方法は無い。
「言う…べき?」
「疑問形にするなよおおぉぉぉ」
「しょうがねえじゃん! 俺だってわかんねえよ、こんなめんどい状況さあ! 宮村も堀も、これ以上溝を広げてやりたくねえんだよ…!」

 夢にでも思いたい。もっと幸せな運命を。






「ユキちゃーん、ちょっといい?」
「いいよぉ、どこ?」
「んー…、屋上。お昼食べながら!」
「ちょっと待っててね〜」
 教室を出たあたりからユキの顔つきが変わった。
 レミは一歩先を歩き、少し下を向いている。
 屋上の扉を開けると、涼しげな風が吹き二人の前髪を揺らした。
「堀のこと?」
「そう。この前、仙石くんと出かけたときなんだけど、駅前でキョンキョンとキョンキョンの中学んときの元カレが会ってた」
「へ?」
「だから、仙石君は石川くんに相談してるの」
「え、で…、えぇ?」
 ユキの目はあちこちに泳ぎ、だんだん汗ばんできているのがわかる。
「宮村くんに、言ったほうがいいのかな」
 レミの一言の後に、ユキの体がぐらりと揺れて足が一歩踏みでた。
「分かんない、よ。宮村は堀のこと信じてるのに、堀はそんなこと知らないしさぁ…」
 ユキの目には涙がうかぶ。汚れのない、透き通った滴が零れ落ちる。

(風が吹く、青い空だった)(涙が落ちた、青い空だった)





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