平和主義



「安田先生! 1組の生徒に近づかないでください!」
いつもの相談室で机に灰皿をガンガンしながら、寺島先生がかつをいれる。
「寺島先生だって解るでしょ!? 仕事なんですよ」
「職務中にタバコを吸わない!」
ライターとタバコを取り出した安田に、平手が飛んでくる。安田は座っていたソファからぶっ飛んだ。
「俺だってね、プリント作ったりしてんですよ? ほらこれだって…」
プリントの束を入れているプラスチックのカゴから、プリントを取り出す。テーブルに放った瞬間、人差し指に赤い筋が通った。
「あ、指切れちゃった」
指を目の前にやり、血が滲み出るのを見つめる。
「もう、何やってんですか」
寺島先生は白衣のポケットからポーチを取り出し、絆創膏を2枚取り出した。外皮をペリペリと剥がし、安田の指をつかんだ。
「ほら、軽く曲げて」
言うとおりに指を曲げ、上から少し緩めに絆創膏を貼り付けた。
「今のがもし取れちゃったら、これを使って下さいね」
「すみません、なんか…」
「もしその血が生徒の皮膚に付いて、病気にでもなったらどうするんですか」
「俺、病原菌じゃないですか…」
「知らなかったんですか!?」

今日も二人の言い争いが続きます。
今日も平和です。



prev next

 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -