裏声



※フリリク小説です
この小説はのらさんのみ持ち帰りokです!
リクエスト:宮村×堀+安田
      安田にキレる宮村






『堀さん、3年の堀さん。至急、相談室に来てください』
放課後が始まってすぐ、聞き覚えのない高い声で放送がかかった。
「これ、誰の声?」
席の近いユキがきいてくる。私もわからなかった。
「女の先生? こんな声の人いたっけなぁ。とりあえず、行ってくるわー」
「んー、じゃあ明日ねー」
「ばいばーい」
教室を出ようとすると、宮村に肩をたたかれた。
「堀さん、ダメだ。行っちゃだめだ」
「え、な、なんで?」
「こ、この声は…安田だ…」
「あいつか!」
 どうしてわかったんだろう。声高い同士だから?
 結局、私と宮村が一緒に相談室に行くことにした。


「入りまーす」
 声は私。
 でも相談室に入るのは、宮村。
「はーい…って! 宮村!」
「何ですか。用なんですか」
「ええぇぇ…」
 プリントを何枚か落としながら、安田は脱力した。
「何考えてたのよ、エロ教師」
 後に続いて相談室に入る。安田がさらにそういうことか、と脱力した。
「む、胸のことについて…」
 床に膝をつく安田に宮村が、背中を右足でザスっと。
「リンチじゃねえかぁ」
「早く、クビになれ」
 安田は何を考えてるかわからない。本当に変態なのか、そうじゃないのか。
 でももし本当に変態だとしても、寺島先生のことは好きなの?
「ねえ、安田は彼女できないの?」
「先生ぐらいつけて…。俺はこの高校で彼女を作りたいんだよ」
「死ね。寺島先生は? 俺は二人、合うと思うよ」
「俺は綾崎の顔と堀の胸がほしいんだよ」
「死ね」
 宮村は視線が泳ぐ安田をさらに蹴った。
「安田先生! 何やってんですか!?」
 職員室から走ってきたと思しき寺島先生が、扉を壊す勢いで開けた。
 手には教科書と灰皿が握られていた。
「生徒にいじめられてました…」
「放送! あれぐらいでばれないとでも思ってたんですか!?」
 相談室に来るまでに宮村に教えてもらった。
 あの時かかった放送は安田が裏声で話していたものだったと。寺島先生はそれに気付いてたんだ。さすがです。
「英語のプリントの整理を手伝ってもらおうとしたんですよ!」
「堀さんは英語の係じゃないでしょう!? 安田先生は今日、2時間も空きがあったんですからそこで何とかしてください!」
 寺島先生を本気で怒らすと、ここまで怖いとは…。いつもと雰囲気が違って面白い。
「堀さん、宮村くん、二人はもう帰っていいですよ。私はこいつとお話があるので」
「はーい」
 その日は二人で帰った。学校の校舎を出ると、ガラスが割れるような音が相談室のあたりからした。


(110220 誤字修正)

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