愚か者



愚か者


※注意※
これは凪さんへのプレゼント小説です!
凪さんのみ、お持ち帰りOKです
リクエストは「堀さんがらみで、ほかの男子に嫉妬する宮村」です




 宮村の機嫌が悪い。そう気づいたのは今朝、宮村と会った時だった。
「宮村ぁ、おはよー」
「あ゛? あぁ、石川くんか。おはよう」
 いま! いま、あ゛? って言った!
 俺の扱いが進藤レベルに下がった? と一瞬思ったけど、この反応は秀にも仙石にも同じだった。

「今日さあ、宮村くんなんかあったの?」
 生徒会室を使っての作戦会議。参加者は俺と秀と仙石。加えて吉川。
「あれ、堀は?」
 吉川がふと声を上げる。
「それがさぁ、教室にいなかったんだよ。宮村の近くにもいなくてぇ…」
 あれ、堀が休み時間毎にに姿をくらませて宮村が不機嫌…。堀がらみ?
「もうアレじゃねえの? ほらぁ、宮村って28日周期だから?」
「秀、うるさい」
「シカトされうらー…!」
「宮村くんは、呼ばないのか? 直接訊いたほうが早いんじゃないの」
「仙石…、お前はあのドSモード宮村に声をかけられるというのか」
 無理。即答するなよ…。

「あれっ、堀だ!」
「ユキだぁ、今日初めて話すね」
 ここ何日か堀と話す機会が減った気がした。休み時間にいないからかな?
「最近さぁ、宮村となんかあったの?」
「え、なんで?」
 堀の顔色は変わらなかった。本当に…何もなかったんだなぁ。
 でもでも、宮村は機嫌が悪いんだから、堀が気付いてないだけ?
「だって、宮村、最近機嫌悪いからさぁ」
「えぇー」
 そうかなぁ、と堀は俯いた。

「宮村くんは堀さんと何かあったんですか?」
「え、そう見えるの?」
 んー、と僕はうなった。
 避けてるというよりはすれ違っているというか、最近二人が一緒にいるところを見てないというか。
「少なくとも僕は…。なんか悩んでるんだったら、誰かに相談したほうがいいですよ」
「うん、柳君ありがとう」
 力になれたかなぁ、なれてたらいいなぁ。

「ほ、堀さん。折り入って話したいことがあります」
「なんで敬語?」
「明日、うちに来ませんか」
「じゃあ4時ぐらいに行くわよ」
「はい」

「なんで、あんなに他人行儀なんだよ!」
「知らないよ。石川くん、静かにして」
「え、なになに、会長たち何やってんの!?」
「秀、うるさい!」
「こら、石川くん」

 堀さんは4時に来るといって、2時に来た。でも悪く思わなかった。はやく、懸案を片付けたかったから。
「最近、いやだ」
「はァ? 何が」
「堀さんが、ほかの男の人と話しているのが嫌です」
 堀さんが、目を見張るというのはこのことか、という程度に目を見張った。同時に頬が紅くなる。
「そっ、それって、い、いつ!」
「最近の休み時間」
「んぐっ…」
 心当たりあるんだね。
「と、隣のクラスの松崎と…、」
「知ってる。松崎豊だよね」
 あぁ、どうしてこんなに冷たい当たりをしちゃうんだろう。こんな口調とか、こんな言葉とか発したくないのにな。
「み、宮村の昔の写真を見せてもらってて…!」
「へ?」
「松崎って、宮村と高校一緒じゃん? でぇ、宮村って自分の写真見せてくれないから…」
 松崎に頼んでました…。
 ごめんね? 堀さんはそういって、俺の冷えた心を温めた。傷つけないように、ゆっくりと。

(最初からキモチは俺に向いてた)
(それに気づかないなんて、俺はなんておろかなんだ)




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