脳内浸食



※堀たちが1年の時のあたりだと思って。今日はちゃんと学校あります。なんだか堀と仙石の仲が良さげです。気にしたら負けです。



朝、起きたら部屋の空気がやけに冷えていた。いつも起きたら聞こえる創太の声とか、テレビの音声とか、何も聞こえない。本当に、冷たい空気だった。
「何時…」
携帯を枕元に置いて寝ることは少ない。制服の中か…居間か。
とりあえず体を起こして、目元を擦った。
居間の机の上には充電の切れた携帯が置かれていて、台所にも寝部屋にも誰かがいる気配はなかった。思わず、今日が何曜日かを考えた。
テレビのリモコンを探し当て、電源ボタンを押す。画面には化粧をした女性のアナウンサーが、わざとらしい声色でタイトルコールをしていた。
「マンデーニュース、7時50分の部です!」
月曜日…?
脳みそが一気に起き上がる感じがした。血液が体内を巡る。
「遅刻!」
洗濯干しにぶら下がっている短パンを履いてから、スカートを履く。毎日している動作をこんなにも早くできるのかと感心した。


通学路をダッシュしながら、昨夜カバンに詰めた教科書類をチェックした。1時限目はよりによって体育。これは生徒会室を借りなきゃいけないなぁ、と幼馴染の顔を思い浮かべる。
いつもいるはずの桐高生はまったくいなかった。

「仙石! ちょっと会室貸して!」
そういえば昨日、仙石が早朝会議があるとか言っていた。
ドアを勢いよく開けると、見慣れた幼馴染が怪訝な顔をこっちに向けていた。
「京ちゃん、寝坊したの?」
「そうよ! 悪い!?」
「いや、別に…」
壁にかかっている時計は1時限開始まであと10分を刻んでいる。着替えて教室に荷物を置きに行って、ぎりぎり間に合うかどうかだ。
「仙石は、なんでそんなに着替えるの遅いのよ」
「俺は3年の集会に参加しなきゃいけないからいいんだよ」
「ジャージで?」
「うん」
ワイシャツの下に運動着のTシャツを着てきたから、だいぶ時間は短縮できる。
仙石はワイシャツのボタンに手をかけていた。シャツの裾から細い腕がちらちらと覗く。
「仙石、細すぎるよ」
「うるさい。気にしてんだよ」
「今、何キロ?」
「ごじゅう…」
「嘘つくな」
「46キロ…」
「は!?」
ジャージを被る手が止まった。間抜けな声とともに苛立ちが吐き出される。
「なんでそんなに軽いのよ!」
「傷つく」
ため息をつきながら手を着替えの動作に戻した。
仙石はまず腕が細い。足が細い。腰も細い。細すぎる。
女子としてのプライドがある。自分の体重より少しは重いが、それもほんの少しだ。油断をしていたら自分の方が重くなってしまう。
「私、ダイエットしようかなぁ…」
「京ちゃん、それ以上細くなってどうすんのさ」
「うるさいわね」
制服をたたんでカバンに押し込んだ。どうせ1限が終わったら着替えるのだ。
「じゃあね」
カバンを抱えて会室のドアを開ける。仙石の間抜けなじゃあね〜という声が背中でした。


小走りで教室へ向かう。ダイエットという文字が頭に浮かんだ。
お昼ご飯は持ってきていない。せっかくだから抜いてみようか。
そういえば朝ごはんも食べていない。いい機会だ。


体が軽い自分を想像したら気分がよくなった。それに、自分より少しだけ太い仙石を想像しても気分がよくなった。
並んで歩くことはそうそうないだろうけど、並んだらきっとよく見える。
私の目標は仙石より細く。仙石の体が私の頭を独占した。


□■□

仙石がめちゃくちゃ細い話を書きたかった。ノリで書いたから粗いですね、ごめんなさい。


私のいとこ(高1男子)が173センチで49キロです。めっちゃ細いです。まだ私の方が軽いけど、なぜそんなにも軽いのか!と口げんかに(笑)
私もいとこよりもっと軽くなろうと減量中です。


お久しぶりの小説ですね。



20110428



prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -