good morning



やけに蒸し暑いと思った。
天井も低くて、寝床も狭い。胸元には小さい頭があって、長くてきれいな髪の毛が僕の鼻をくすぐっていた。
重くてしょうがないまぶたをゆっくりあける。部屋の照明が目に刺さって、思わず目を閉じる。
「…レミ?」
「なぁに…」
「暑くない…?」
そう言うとレミがこくりとうなずいた。
冬とはいえ、ブレザー、カーディガン、ワイシャツを着こんでいるとなると蒸し暑くなるのはしょうがない。
「今、何時ぃ」
そう訊かれて手首に巻いている腕時計に目をやった。中学から使っているそのデジタル時計は、10時29分を示していた。
「えぇ!?」
体をばっと起こすと、頭を天井にぶつけた。寝ぼけていた目も頭も覚める。
頭を抱えながら声を絞り出す。
「レミ…10時半…今、10時半…」
「えぇー…無理…今日、学校無理…」
昨日の夕方学校帰りにレミがうちに来たいと言ったからレミをうちに入れた。偶然親が今日帰ってこないという置手紙があって、二人で作り置きされていたご飯を食べた。それでそのまま二人で音楽を聴きながら布団にもぐって、それから―――…
「今からでも行こうよ…」
痛みがだいぶ引いてきて、レミに目線を合わせる。いつもきっちり結われている髪がボサボサだ。
「じゃあ30分…準備するから…」
「とりあえず降りよう?」
「うん…」
ゆっくり体を起こして、レミに降りるのをうながす。寝ぼけ眼のレミがゆっくりとはしごを降りていき、自分もそれに続く。


こんなに二人でぐっすりだったのは久しぶりだな、とぶつけた頭を押さえながら思った。
洗面台で顔を洗って部屋に戻ると、レミがぺたんと座っている。
レミはいつもブレザーに仕込んでいるコームを握りしめて、舟をこいでいた。髪はすでに、いつも通りの高い二つ結びに整えられている。
「あなた、何寝てるの」
「うんー…」
「ほら、立つよ」
手を差し出すと、レミはすんなり手を預けてきた。だが、立ち上がる気はさらさら無いらしい。
「ほら、」
レミは預けてきた反対の手で、目を擦る。
手に力が入ったので、立ち上がらせる態勢をつくった。レミがどんなに軽くても、自分も軽いからそれなりに力を入れなきゃ立ち上がらせることはできない。
ようやく立ち上がったレミを洗面台まで連れて行く。


寝たときに温かいと思ったのは久しぶりだった。やっぱり人の温もりは、機械の温もりにないものがある。
なんとなく、心も温かい朝だった。

□■□


最後のオチをつけるのに30分かかったという衝撃。
一緒に寝てる仙レミを妄想してただけです、はい。
仙レミかわええ…



20110405



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