ナッシュさんと

(匿名様リクエスト)





「縁ってのは不思議だね」
「…はぁ?」
「本当だったら、ミザエルやギラグやアリトは、私らと知り合う事はなかったでしょ」
「あぁ…国が違いすぎたな」
「でも、バリアンの私達は彼らを友とさえ呼ぶ」
「あいつらも、俺達をそう呼ぶ」
「知らないままで過ごしていたかもしれないのに」
「…何が言いたい?」
「知らないままだったら、今の友人と戦う道なんか選ばなくて済んだかもしれない」
「俺についてきた事を後悔してんのか」
「まさか。ただちょっと、もしもの事を考えてみただけ。こうだったら、ああだったら、って」
「ハッ、くだらねぇな」
「私はナッシュほど選んだ道を迷いなく進む事はできないから、パラレルを考えちゃう」
「パラレル…」
「そう。例えばナッシュが凌牙として生きた道とか、私がナッシュについていかなかった道とか、そういうのを、ね」
「考えても意味がねぇだろう。俺は神代凌牙ではなくナッシュを選んだし、お前も人間を捨ててこっちに来た。今はそれだけが事実だ」
「それだけって割り切る事ができないんだよ」
「…やはり後悔してんじゃねぇのか」
「まさか」
「ならいい」
「でもね、ナッシュ。後悔はなくても、どうだったのかなって振り返る事は、あってもいいと思うんだよ」
「………」
「…変な事言ったかな。ごめんね」
「これぐらいで下がるような士気は持ち合わせちゃいねぇよ」
「よかった」
「行くぞ。―――人間を滅ぼす」
「…うん」

2015/07/21

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