『あっ、ああ...いぁっ、あ...』


「花子ちゃん、誰と、どこで、何、してたの?」


『あっ、あ、ああ...ッ...そ、こ、やめ...っ...』


「変な術まで、かけられちゃって...」


『あっ、あ...やぁっ、ああ...ッ...も、イッ...ッ!』








イきそうになった途端、彰の指が膣内から引き抜かれて、ジンジンと疼く私の下腹部がジワリと更に熱を帯びていく。逃がせない熱のせいか余計に身体の力が抜けていって、ベッドの上であぐらをかいて座る彰の身体に背中をもたれながら「開いて」と彰に言われて開かされた足が何故だか閉じれない。ずっと彰に絶頂を許されないまま、私の膣内が彰の指で弄られ続けて「イかせて欲しい?」と彰が意地悪そうに笑いながら、また私の膣内へゆっくりと指を埋めていく。彰の指が膣内に入る瞬間に私の下腹部がビクッと震えて、一層高くなった私の甘い声が勝手に口から漏れていった。彰の指でゆっくりと私の良いところが押し上げられると、既に快感で滲んでいた私の視界が更に滲んで彰の指が出し入れされる度に秘部を伝った愛液が、止めどなく溢れて出ていく感覚を嫌でも感じた。








「あーあ、花子ちゃんの中もうドロドロ...」


『やっ、あっ...も...あ、ああっ...』


「中、凄いうねってるね...またイきそう?」


『だ、めぇ...あっ...イく、やっ...イッ...』


「駄目だよ、イかせない」









彰が吐息まじりに囁く言葉が、クラクラする頭の中で私の耳に響いた気がした。さっきまで私は土屋先輩の部屋に居たはずなのに、今は何故か自分の部屋で彰と居る。疑問で頭がいっぱいな筈なのに、頭がぼーっとして、理解が追いつかない。何で、彰は怒ってるの?なんで、イかせてくれないの?クラクラして、ガンガンする。頭の痛みは消えないまま、彰が後ろから私の耳元で「花子ちゃん。誰かに、何かされたの?」と囁く様に言った言葉が、頭の中で何度もリピートして土屋先輩といた時の様に勝手に私の口が、動いていく。『土屋先輩が、楽にしてあげてって...』勝手に動いていく口のせいで土屋先輩の言葉を思い出すと同時に胸が苦しくなって、私の瞳から涙がポロポロ流れ出ると、彰は膣内の指の動きを止めながら「うん、ゆっくりで良いよ」なんて言って私の目尻に口付けた。








『彰が最後までしてくれないのは...抱きたくない理由が、あるからで...ッ...でも最後までしないと...彰が死んじゃう、から...』


「うん...死んじゃうから?』


『私と契約したままだと、彰が...可哀想で...私も、苦しくて...だから...ッ...』


「だから?」


『契約の上書き、しよって...やっ!?あっ、やっ、やぁあっ!』








"契約の上書き"の言葉を言った途端に、止まっていた彰の指の動きが再開して「なにそれ?大好きなツチヤ先輩に言われたから、花子ちゃんは契約の上書きしようとしたってこと?」と怒った様な口調で、先程とは違って荒々しく私の膣内を掻き回していく。私の高くなる声とグチュグチュと激しくなる水音が私の部屋に響いて、私の腰が震え始める。『違う、してない』と、否定する言葉が私の甘い声のせいでうまく言葉にできなくて、手で探る様に彰のシャツを握り締めた。先ほどから迎えられなかった絶頂の波が襲ってくる様に昇ってくるのに、彰がまた指の動きをぴたりと止めて「花子ちゃんは、気持ち良くなれれば誰でも良いんだ?」なんていつもよりも低い声で呟いていく。『違っ...』と否定しようとする私が言葉を続ける前に彰の手が私の下腹部をなぞって、指先で私のお腹の上をグッと押した瞬間、膣奥に挿れられていた彰の指が更に奥へと埋まっていった。ゾクッと背中に何かが走って、今まで感じたことのない様な快感が私の身体を駆け抜ける。彰の小さく笑った声が耳元で聞こえて「花子ちゃんはこの子宮の所に、俺の挿れて欲しいの?」と彰の吐息まじりの声が私の鼓膜を振動させていく。







『やっ...っ...あ、きら...』


「それとも、ツチヤ先輩のが...欲しい?」


『っ...や、やぁ...っ...これ、あっ...』


「んー?なに?それとも、誰でも良いから、挿れて欲しいだけ?」







ググッと根元まで埋め込まれる彰の指が更に膣奥へ入ってくる気がして、私の腰が勝手に震える。指を激しく動かされているわけでもないのに、ただ、奥を触られているだけなのに、何でこんなに...気持ちいいの。今まで感じたことのない快感と、彰の言葉で胸が更に苦しくなって、私の涙が余計に溢れて止まらない。誰でも良い訳じゃない。何で好きでもないのに、彰はそんな事言うの?何で、期待なんて、させるの。もう、やだ、なんで...。彰が指先で私のお腹をグッと更に押した瞬間、押された下腹部が痙攣した様に震えて絶頂を迎えそうになっていく。彰はお腹に置いた指先を離して「ツチヤ先輩に、挿れてもらいたい?」とため息まじりの声で呟いてから、続ける様に「ほら、見て」なんて言いながらパチンっと指を弾いた様なスナップ音が私の頭に響いていった。先程土屋先輩の部屋で聞こえた音と同じ音だ、と思いながら瞬きをした瞬間、私の目の前に土屋先輩の姿が現れる。ビクッと驚いた様に肩を跳ねさせると、彰は「此処に、ツチヤ先輩のくださいっておねだりしたら、大好きなツチヤ先輩に挿れてもらえるんじゃない?」なんて言いながら彰が膣内に埋まった指の動きを再開させて、私の口から甘い声が漏れ出ていく。やだ、なんで、やだ。頭で理解できないことばかり起こるし、苦しいし、イきたいのにイけないし、まだ頭はクラクラするし、ぐるぐる頭の中に回る私の心の声のせいで、余計に私の思考が停止する。目の前に姿を表した土屋先輩は、私を見つめたまま、いつもの様にニコッと笑って何も言わない。何も言わない土屋先輩に私の全てを見ている気がして、私の思考に微かに残っていた羞恥心のおかげで足を閉じようと内腿に力を込めるのに、彰の手がそれを許してはくれなかった。








「足閉じないで...挿れて欲しいんでしょ?」


『いやっ、やっ...やだぁ、ああ、あっ...!』


「どうして?最後までしたいんじゃないの?指じゃ届かない奥までグズグズにして欲しいって...素直に言いなよ」


『あっ、やっ...や、めっ...あっ...』


「此処に、大好きなツチヤ先輩のくださいって言えば...花子ちゃんの事、自由にしてあげるから...」


『やっ...違っ...あ、きらが...っ...あ、ああ』


「ん?俺が何?」


『い、やっ...あっ...彰じゃ、なきゃ...っ...』


「なんで?ツチヤ先輩の事、好きなんでしょ?」


『あっ、やっ...違う...ッ...ち、がっ....』








『私が好きなのは、彰だよ』と消えそうな声で呟いた。彰との契約が終わってしまう気がして言えなかった言葉を、言ってしまった。ルールを破った。契約は、もうおしまい?彰と、終わり?抑えたかったのに、言いたくなかった。だけど、土屋先輩に抱かれたくなんかない。ポロポロ流れる涙を拭おうと彰のシャツを掴んでいた手を離すと、またパチンッとスナップ音が聞こえて、目の前にいたはずの土屋先輩の姿が消えていく。「幻覚、見せただけだよ」彰がため息まじりに呟いて、私の膣内から指を引き抜いていくと同時に、彰が私の顎に手を添えて私の顔が彰の方へと向かされる。「意地悪、しすぎちゃったね」なんて彰がいつものように優しく笑って「ごめん」と囁いた後、私の唇を静かに奪った。ちゅっと軽くなったリップ音が部屋に響いて、彰が私の瞳を見つめる。私はこれから何を言われるのかが怖くなって、彰から視線を逸らしながら『私こそ...好きになって、ごめんなさい...』と自分で漏らした言葉なのに胸が裂けそうに痛くなった。彰はふーっと長い息を吐いてから「花子ちゃん、こっち向いて」と私を見つめる。視界の隅で彰の真剣な表情が見えて、私は覚悟を決めた様に彰を見つめた。





「此処に俺のが、欲しいの?」


『...う、ん...』


「そっか...」





彰が1度目を瞑ってから「俺も、花子ちゃんが欲しいよ」と困った様に笑うと私の唇に優しく吸い付た。頭がクラクラする感覚は消えないまま、朦朧とする意識の中で「ごめんね」と小さく聞こえた彰の言葉が、やけに私の耳に響いて離れなかった。




好きになって、ごめんね
(これで、終わりなのかな)


次に目を覚ましたら彰がいなくなる気がして、滲んだ瞳と揺れる視界で彰を見つめていたのに、私の意識はどんどん遠くなって、いつの間にか瞼を閉じていた。







Back