私が彰と契約したと言われてから数日が経った。急に契約なんて言われても信じられないし、別に身体に違和感もある訳でもなければ、何か特別変わったこともない。強いて言うなら、彰との距離感くらいだ。元々距離感の概念が違うとは思っていたけど、契約をした、と言われた日から妙に距離感が近づいた気がする。もちろん契約していて私からしか精気が貰えない、と言うこともあるんだろうけど...それにしたって...。






「お?今日はカレーかー」


『壁すり抜けて勝手に入ってこないでください!!』





ご飯を作っていると彰が壁をすり抜けて勝手に家に入ってくるし、ご飯を作っている最中に「カレーも美味しそうだけど、花子ちゃんの事も食べたいな」なんて甘い台詞を言ってくる。そんな馬鹿みたいな甘い台詞にきゅんっとしてしまう程惹かれている私も大概やばい。恋は盲目と言うやつだ。とかなんとか思っていると彰の手が私の腰に触れてくるもんだから、私は『ちょっ...』なんて言いつつおたまから手を離した。







「なに?」


『何?じゃなくてですね...あの、その...ご飯作ってるんでやめてください』


「良いよ?そのままご飯作っててよ」


『危ない...ですし...』


「大丈夫、怪我したら治してあげる」







そう言う問題じゃない。好きな男性にこんなに近くにいられたらドキドキしてそれどころじゃないし、私が全く大丈夫ではないのだ。ムッと眉を寄せた私が少しだけ小さく笑った彰と目を合わせると、彰はちゅっと私に口付けながら「少しだけ、食べさせてよ」なんて言って腰にある手を服の中へと潜り込ませた。私は『だっ、だめです!』と彰の手を引き剥がそうと掴んでみるけど、軽やかに避けられて私の素肌に彰の指が優しく触れる。ここ数日、何度か彰に触られている。そのせいなのか、彰が触れてくる部分が妙に熱くなって、すぐに私の甘い吐息が漏れていく。肌に触れられただけ、それだけの事なのに私はキッチンの端に手を置いかないと足が崩れてしまいそうな程度には敏感になった気がする。これが淫魔のパワーってやつなんだろうか...なんて考えていると、彰が私の頸へ唇を寄せて軽いリップ音を鳴らした後、彰の指が下着を器用に避けて胸の突起へかすめる様に移動していく。声を小さく漏らしながら、逃げる様に身体を後ろへ動かすと、彰の身体に私の背中がトンっと当たって逃げられないと気付いてしまった。彰が「腰、俺に押し付けてるの?」なんて馬鹿なことを言うもんだから『違う』と言って前に体重をかけると胸の突起を触れている彰の手に押しつける形になってしまうし、どっちに転んだって彰の良い様に言われてしまう。






『やっ...っ...んっ...』


「胸だけで、イかせてあげようか?」


『やっ、やだ...っ...』


「なんで?気持ちいいよ?」







「気持ちいい事好きでしょ?」なんて、頸から耳元に移動した彰の声が、吐息まじりに私の耳に当たると同時に背中にゾクリと何かが走っていく。否定したいのに、胸の突起を摘まれると私の身体は彰の言葉を肯定している様に小さく震えて、彰の舌が私の耳をなぞる度に痺れる様な感覚が私の身体を駆け抜ける。「花子ちゃんの甘い香りがする」なんて艶っぽい声で言った彰が私の胸の突起を引っ掻くと、私の口からはまた甘い声が漏れていく。どんどん熱くなる自分の身体と、視界の隅に入る彰の熱い視線に耐えられなくて思わず目を瞑って、下唇をギュッと噛んだ。「もっと、食べたい」と彰の囁く様な、掠れた様な声が耳元で聞こえたと思ったら、私の唇に彰の唇が優しく触れる。何度か触れるだけのキスをして、胸の突起に触れていた彰の手がなぞる様に下へと降りた。触れるだけだった口付けがどんどん深くなって、口の隙間から漏れる私の甘い声を吸い取る様に彰が私の唇を吸い上げる。ふわふわしていく頭の中と、熱くなる身体が、まるで知らない自分になっていくみたいで少しの恐怖感が私を襲うのに、何故だか私は抗えない。下腹部に降りた彰の指がズボンと下着を避けて私の秘部に直接触れると、小さな水音が聞こえた気がして、音のせいか、それとも彰に触れられて敏感になってしまったせいだからなのか、私の身体がビクッと震えて思わず瞼を開いた。彰は私の反応に小さく笑った後、秘部の割れ目を指でなぞりながら「中、入れても良い?」と囁く様に問いかけながら私の瞳を見つめていく。私は、その"いれる"という意味がどう言う意味なのかを考えて、動揺した様に瞳を揺らしてしまった。それは、彰の指を...と、いうことだろうか。それとも...。なんて考えている間に、彰がクスリと笑って私の秘部の割れ目に指を沿わせる。ドキドキ早くなる心臓の音と、熱くなっている身体がまるで期待している様に反応して、ジワリと私の視界が滲んだ。彰は私の瞳を見つめたまま「花子ちゃんって本当可愛いね」と眉を寄せながら笑って私の唇を塞ぐと同時に私の膣内に指を埋めていく。絡めとられていく舌に意識を集中すればするほど、膣内に埋め込まれた彰の指が、私の良いところを掠めていくのに、ソコに集中すると私の口内を彰の舌が犯していく。どっちに集中したら良いかなんてわからないし、気持ち良さのせいなのか頭がおかしくなりそうで、好きな人に可愛いだなんて言われて舞い上がる気持ちと、頭が回らないほどにふわふわしていく気分が、私の胸を何故だか締め付ける。そのまま深く埋まった彰の指が私の膣奥へ到達すると塞がれた口から私の甘い声が漏れ出ていって、彰の唇が離れた瞬間『いや』なんて震えるような声で呟くと、彰は「素直に気持ちいいって言えたら、もっと気持ち良くなるよ」なんて言って目を細めた。ゾクッと背筋に走る快感と、膣奥を押し上げて、膣壁を擦る様に引き抜かれる彰の指の感覚が私の全身を支配しているみたいで「ほら、言って」と催促する様に私を見つめる彰のせいでまた頭の中が白くなる。






『やっ、あっ...あ、ああ』


「ここ、気持ちいい?」


「ッ...あっ、ああ..だ、め...』


「ねぇ、花子ちゃん」






「気持ちいいの?」と追い詰めてくる様に投げかけてくる彰の言葉が私の頭の中をぐるぐる回って、私の思考が停止する。勝手に震える下腹部と、私の良いところを擦り上げていく彰の指のせいで止まらない私の甘い声が、気持ちいいと言ってる様に反応しているのに、彰は「言って」と再び催促する様に囁いた。私は彰の瞳から視線を逸らして『気持ちいい』なんて甘い声を漏らしながら呟いて、死ぬほど恥ずかしい筈のその言葉を漏らした途端に自分の感度が増した様に身体を震わせていく。彰は「甘い匂いが、濃くなったね」と意地悪そうに呟いてからまた私の唇を塞いで、膣内の指を私の良いところに押し付けながら私の舌を絡め取る。膣内にある彰の指の動きはゆっくりなのに、的確に私の良いところを押し上げながら擦られて、電流の様に頭から爪先まで走り抜ける快感が私の思考を更に停止すると同時に彰に擦られるソコにしか意識がいかないみたいにどんどん昇り詰めていく。







『んっ、んぅ...ん、んん...っああ』


「...あー、指そんな締め付けちゃって...イく?」


『だ、め...っ...やあっ、あ...ッ!』


「ん?だめ?イきたくない?」


『やっ、だぁ、ああ、ッ...あ...』


「へぇ...」







「嫌なのに、イッちゃうんだ?」クスッと彰の意地悪そうに笑う声が微かに聞こえると同時に早くなった膣内の指が私を更に追い詰めて、そのままどんどんのぼって、のぼって、頭の中で何かが弾けた様な感覚が私を襲う。ビクビクっと震えた私の身体と、のけぞる様に反らした腰と、裏返る様に高くなった声と、膣内がギュッと私の意思なんて関係なく彰の指を締め付ける感覚が、私が絶頂したことを彰に知らせていくのに、彰はまた私の良いところをゆっくりと押し上げる。そのせいでジワリと滲んだ私の視界で彰を見つめて、達した直後の敏感な身体が弓形になって、無意識に彰の身体に自分の腰を押し付けた。彰は「可愛い」なんて言いながら私の唇を食べる様に塞いで、私の舌を絡め取る。可愛いと言う彰の言葉を間に受けてしまうほど、馬鹿じゃない。馬鹿じゃないけど、こんな感覚覚えてしまったら馬鹿になる。溶ける様に甘い口付けと、強すぎる刺激のせいで文字通りおかしくなりそうだった。なのに止まらない彰の愛撫と、甘い言葉のせいでまた頭が白くなっていく。







『やっ、やぁっ...もっ...』


「次はこっちに、キスさせて」


『だっ...め、やっ...!』






彰の指が膣内で増えた瞬間、彰の顔が私の下腹部に移動して、私の言葉も虚しくズボンと下着が一気に下される。彰が「美味しそう」なんて台詞を口から吐いて、馬鹿なこと言ってると思うのに、私の背筋にゾクリと何かが走っていった。




熱くなる、心と身体
(好きになるななんて言っておいて、ずるい)



恋人でもないのに、彰は私のことを好きでもないのに、彰からしたらただの食事なのに、こんなに優しく大事に扱われると、勘違いする。と勝手に自惚れてしまう私の胸がちくりと痛んだ。









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