「田中、鍵どこなん?」


『鞄の中です...あっ、の!もう!もう玄関なんで!平気です!1人で開けれます!』





『もう酔いも覚めてきましたし!』と私が必死に説明するのに、土屋先輩は「ほーん。アキラくんが部屋におるかもしれへんから、そんないに焦っとるん?」なんて意地悪そうに笑いながら「アキラくんに僕と居るの見られるんはそーんな、嫌なんや?」と言って私の鞄の中に手を突っ込んでガソゴソやり出した。私は焦りに焦って『ちょ!やめてください!だめです!先輩!こら!』と土屋先輩の腕を掴みながら抵抗するのに、土屋先輩は「お、これやな」なんて私の顔を見てニヤニヤしながら鞄の中から手を取り出す。もちろん土屋先輩は私の部屋の鍵を握りしめていて『返してください!』と少し声を荒げながら土屋先輩の手を伸ばすけど、土屋先輩が腕を上げてしまえば身長差で奪い返すことなんて出来るはずもなかった。





「返して欲しいん?」


『当たり前じゃないですか!』


「ほな僕ともう一回キスしてくれたら返したるわ」


『なっ...!?しないです!て、言うか二度とキスしないでって話は...』


「そんな話、したんやっけ?覚えてへんなぁ」


『ちょっ、したじゃないですか!』


「もう一回って、何かな?」





「二度とキスしないって話も、聞いてないけど?」と不意にした声に土屋先輩と2人で思わず声のする方へ視線を移して『あ、』と私と土屋先輩の声が重なる。何故そんな声を出したかというと、いつの間にか開けられていた私の部屋の玄関から彰がニコニコしながらこちらを見ていたからだ。ああ、やばい。なんて思ったのも束の間で、彰が私に近づいて腕を掴むと「少し、話しようか」と再びニコッと貼り付けられた様な笑顔を見せた。私は何も言えずにコクリと頷いて、彰に腕を引かれながら自分の部屋に入り込む。後ろから聞こえた「内容によっては、お仕置きだからね」と聞こえた彰の声にごくりと生唾を飲み込むも、「ほな、僕も混ざってええ?」なんて呑気な土屋先輩の声がして、彰が「帰れ」と冷たく言い放ってからバタンっと玄関の扉が勢いよく閉まる音と同時にビュッと駆け抜けた風が死ぬほど冷たい気がした。彰が「で?飲み会だったから酒臭いのはいいとして...なんでツチヤ先輩とキスの話なんてしてたのか教えてくれる?」と私の掴んだ腕を離さないまま問いかける。『と、とりあえず玄関じゃなんだし...話は部屋の中でも...』なんて私が部屋の中を指さすと、彰は小さくため息をつきながら「わかった」と言って私の腕を掴んでいた手を静かに離した。




















かくかくしかじか、話し始めるうちに言い訳じみた言葉しか私の口からは出てこなくて、お酒も入ってたし、油断した。不意打ちだった。彰がいなくなった時もされてその時に二度としないでって私はちゃんと話した。などなど、話してはいけない事まで口から出てしまった気がする。だけど彰は「ふーん。それなのに、土屋先輩と2人っきりになったのは花子ちゃんが悪いよね」と腕組みしながら私を見つめた。はい、返す言葉もございません。その通りです。と正座しながら聞いている私に、彰は「それに、お酒が入ってたからなんて言い訳...聞きたくなかったな」と困った様に笑った。私が何も言えなくなって、下を向くと彰は「ま、次から気を付けてくれればいいから。飲み直そうか」なんて思いもよらない言葉を口にする。私が驚いて『え?』それだけ?とは口から出さずに顔を上げると、彰は「花子ちゃん明日休みだし、たまにはゆっくり飲もうよ。お説教はおしまい」なんて言うもんだから、土屋先輩が言った"飽きられてる"と言う言葉を思い出して自分勝手だとは思いつつも一瞬胸が苦しくなった。
















『んっ...ん、?』





下半身がモゾモゾする様な動きで目が覚めるのに、お酒で酔いが回った頭ですぐに理解できるわけもなくて、私はボーッと辺りを見回してからしばらく理解できなかった。ベッドに座る彰の上に座っているなんて予想が出来るわけもなくて、私は『んん?』と彰の体に背中をもたれかける様に首を傾げる。彰は「花子ちゃん」といつもの様に優しい声色で私の名前を呼ぶのに、私の下腹部、と言うか膣内には彰自身が入っている事に違和感を感じて、徐々に迫り上がってくる快感に『嫌』と甘い声を漏らしながら私は縋る様に彰のシャツをぎゅっと握りしめた。「花子ちゃんが甘えてくるから、襲っちゃった」なんて私の首筋に唇を寄せる彰に向かって、そんなわけない。と言いたいのに、甘い声が口から漏れて『嘘』なんて言葉しか途切れ途切れに出てこない。彰は意地悪そうに笑いながら「しょうがないよ。お酒、入ってるもんね?」と少し目を細めた。私はクラクラする頭を整理する様に思考を巡らせるのに、彰の指が私の秘部の突起に触れたせいで私の思考が強い快感にかき消されていく。いまだに理解できないこの状況とニコニコしながら「寝てるのに、簡単に俺の受け入れちゃったけど...他の人とは絶対にセックスしてないって言えるの?」と私のうなじに唇を落とした彰が私の秘部の突起を擦る。そんなことあり得ない、と否定したいのに込み上げてくる絶頂感に甘い言葉しか漏らせない私に彰は更に追い討ちをかける様に自身をグッと奥へ押し進めた。





『やっ...あっ、あっ、ああ!』


「んー?イッちゃう?」


『イッ、やぁっ...あ、ああ!』


「でも、イッちゃダメだよ。ちゃんと反省しないと...」






「他の男とキスしたの黙ってたのは、簡単に許せないし…ツチヤ先輩が相手なら特に」といつもより低い彰の声が私の耳元で響いていく。ゾクっと背筋に走る快感に流されそうになって、縋る様に掴んだ彰のシャツを更にぎゅっと握り締める。秘部の突起に触れていた彰の手が離れたと思ったら、ゆっくりと彰自身が引き抜かれて、再び奥にねじ込まれていく。良いところを突かれるとどうしても私の絶頂感は昇ってくるのに、ヒクつく中が知らせるように彰自身を締め付けるせいなのか彰の動きがぴたりと止まる。「花子ちゃん知ってる?淫魔って結構嫉妬深いんだよ?」と笑みを含んだ彰の言葉に『そんな事』知らないよ、と続けて言いたかったのに、また秘部の突起に触れる彰の指先に溺れる様に私は甘い声を漏らすしかなかった。








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