コンコン、と何度か響いた窓の音で目が覚めた。まだ夜なのか辺りは暗くて、枕元のスマホで時間を確認すると深夜の2時過ぎ。なんだよ、虫が窓叩いてるのか?なんて思ったけど、この深夜の時刻にお化けじゃないよな?なんて思いながら、私は布団にもぐりなおした。それでも何度かコンコン、と叩かれる窓に少しの恐怖を感じつつ、私はスマホを握りしめて無意識に透に電話をかけてしまった。珍しくワンコールで出た透に『ごめん寝てた?』なんて透としばらく話していない気まずさよりも、この時間に窓が叩かれている事が恐怖で仕方がない。透は「いや...」と、戸惑った様に口にしたけど私は遮る様に『窓の外に何かいるみたいなんだけど、お化けじゃないか確認してくんない?』なんて側から見たら馬鹿なんじゃないか?と思う様な言葉を口にする。だけど透は「その...俺だ」と短く言うもんだから、私は布団から飛び起きて窓に近寄ると、確認する様にカーテンを静かに開けた。窓の外には透がスマホに耳を当てながらこっちを見ていて、私は困惑しながら眉を寄せつつ『おまっ...!!こんな時間にふざけんなよ!?こえーだろ!!』と、鍵と窓を思いっきり開けながら声を荒げた。透は「悪い、こんな時間に」なんて言って困った様に小さく笑うと「入っていいか?」とまた困った様に眉を寄せる。私は『親寝てるから静かにな』なんて言って透を部屋に招き入れた。透は「花子の部屋久しぶりだな」と街灯の光で少しだけ照らされた薄暗い私の部屋をキョロっと見渡す。『中学の時からそんな変わってねーよ』なんて少しだけ口を尖らせながらベットに腰掛けた私に「花子も、久しぶりだな」と透が私を静かに見つめた。私は何故だか透の視線に耐えきれなくて、顔ごと視線を逸らしながら『どうしたんだよ、こんな夜中に...』なんて熱くなっていく顔を誤魔化す様に問いかける。だけど透は何も言わないまま、私の方へと視線へ向けたままだったのが視界の隅でもはっきり見えた。なんなんだよ...。と、寝ているところを起こされたからなのか、自分がなんで苛立っているのかわからなくて、『なんで黙ってんだよ』なんて透に苛立ちをぶつけるように口から漏らした。






「怒ってる...よな?」


『...何が?』


「何って...」


『透がした事...?あの後話もしなくなった事?朝、一緒に行かなくなった事?...それとも透が彼女できたって...黙ってた事?』







喋ってる間にヒートアップしていく私の感情とともに、頭が熱くなって口から勝手に言葉が漏れた。彼女のことなんか、言うつもりなんてなかったのに。透は何も言わないまま、私達の間に気まずい空気が流れた気がした。透が「それは...」と口にした途端に、透の口から彼女の言葉を何故だか私は聞きたくなくて『もう、いいって...私達...幼馴染に戻れるよな?』なんて、胸が苦しくなっていくのと同時に眉を寄せながら口にしていく。私は透の答えを待っているみたいに透に顔を向けて、『全部、無かったことにするから、戻ろうぜ』と縋るように透を見つめた。街灯のせいで逆光になった透の表情は私から見えなくて、静かに近づいてくる透の顔を見つめるように、私は目を細める。だけど、透は「無理だ」なんて何故だか言葉に詰まった様に低い声を漏らして、「花子と...幼馴染に戻れるわけないだろ」と続ける様に言ってから、私の唇を静かに奪った。私は透の胸を押しながら、透の口から逃れる様に顔を逸らして『ッ...!ふ、ざけんな...っ...!』なんて、さらに手に力を込めて透の胸を押していくのに、透は私の手首を掴むとドサッと音ともに私をベッドへと押し倒していく。なんで、なんでだよ透...私は...透と...前みたいに笑いあったり、ふざけあったりしたいだけなのに、なんで...。なんて、悲しいんだか怒りなんだかわからない感情が、私の胸を締め付けた。透は私の口をまた塞いで荒々しく私の舌を絡め取っていって、私の手首を押さえていた透の手に力が入っていくのがわかると、私は『嫌っ!』と、透の口から逃げる様に顔を逸らしていく。その瞬間、透が私の手首から手を離して、私の口を手で塞ぐ様に覆うと「しーっ」なんて言って私の耳に舌を這わせていった。






『ッ...!』


「おばさんとおじさん寝てるんじゃないのか?」


『...ん、っ...』


「なら、静かにしないとな...」






「気持ち良くても、声出すんじゃないぞ」と、耳元で囁いてくる透のいつもよりも低い声が私の身体に響いていく。私はジワリと滲んでいく視界のせいなのか、恐怖に包まれていく様に透の力強い腕から逃れることができなくて、私の手首から透の手が離れても動くことができなかった。そのまま私のシャツの隙間から入れられた透の手が、私の胸を優しく包む。「下着、また着けてないのか...」なんて呆れる様な声で言った透の指が、私の胸の突起に触れると、私の身体は反応する様にビクッと揺れる。塞がれた手の隙間から漏れていく私の熱くなった吐息が、透の指のせいで止まらなくなって、私の耳元で「硬くなってきたな」と意地悪そうに囁いた透の声で、私の背中にゾクリと何かが走っていく。駄目だと思えば思うほど、私の身体が敏感なるみたいにビクッと小さく揺れていって、透の触れたところから熱くなる。快感からなのか、恐怖からなのか、悲しみからなのか分からない涙が私の目にジワリと滲んで、胸の突起をつねる様に摘んだ透の指に反応する様に、私の身体が更に熱くなっていく。私はやめて欲しくて小さく首を振るのに、透の指はなぞる様に私の下腹部へと移動して私のズボンへ降りていくと、下着越しに私の秘部へと触れていった。瞬間に私の濡れた愛液のせいでヌルッと滑る透の指が、私の秘部の突起を擦る。クチュッと小さく響いた水音が、私の身体と頭を余計に熱くさせて、塞がれた透の指の隙間から私の甘い声が大きくなっていく気がした。






『んっ...っ...んぅ、んっ...』


「無理矢理されてるのに、なんでこんなに濡れてるんだ?」


『ん、んっ...ふっ...っ...』


「あぁ...口押さえたままじゃ答えられないか...」







言いながら透が私の口から手を離した瞬間、『透、やめろ』と繰り返す様に私は小さく声を漏らして透を見つめるのに、透の指が下着を避けて私の秘部に直接触れる。ゆっくりとなぞられていく私の秘部の入口から溢れた愛液の音が部屋に響いて、私は腰を震わせていく。私はゾクッと背中に何かが走るのを感じながら『彼女と...すれば良いだろ』なんて震える声で呟いた。「こんな事、出来るわけないだろ」と透の声が小さく聞こえて『なんだよ、それ...』なんて私の問いかけに答える前に膣内に透の指が入り込む。ビクッと震えた私の腰が、待ってたみたいに透の指を締め付ける膣内が、喜んだ様に甘い声を漏らしていく私の口が、ジワリと滲んでいく視界の全てが、私が感じているんだと自覚させていく。なのに胸がズキッと痛んだのは、透が彼女には出来ないと言ったこの行為が、私には簡単に出来てしまう事実が悲しかったからなのか、もう元の私達の関係に戻れないからなのかなんて、分からなかった。ポロポロと目尻から涙が溢れ出て止まらない理由も分からなくて、『お願い、透』と涙ぐんだ声で口から漏らす。透は私の膣内から指を引き抜いたかと思ったら、私の腕を引っ張ると「うつ伏せになれ」なんて私を無理矢理うつ伏せにさせていく。私は枕に顔を埋めながら「ケツ、突き出せよ」と指示してくる透の言葉に従う様に膝を立ててギュッとベッドシーツを握りしめた。






『...とお、る...』


「...てろ...」


『え...?』


「藤真のことでも、考えてろ...」


『は?何言っ...ッ!やっ...!』






なんでそこで藤真が出てくるんだよ、と言いたかった言葉が膣内に埋め込まれた透の指のせいで私の口からは出てこなかった。







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