『あれ?藤真じゃん』


「お、色気のない田中さん」


『誰が色気ないって?』


「お前だ、ばーか」





来週からテスト期間で週末は勉強か...なんて思いながらため息をついた金曜日。サワちゃんと勉強会と称してファミレスで話をした帰りに最寄りの駅を降りたら、見慣れた顔が見えて思わず声をかけてしまった。そしたらこの言われよう。なんだこいつ、喧嘩売ってんだろ。なんて口を尖らせつつ、『また透とバスケの話した帰り?』と頭にハテナを浮かべる私に、藤真は「まぁ、そうだけど」と言った後に私から視線を少しずらして「また、変な奴に絡まれてるかもって思って迎えきたわ」とかなんとか。え?なんだそれ?今日化粧とかしてねーし、なんなら今日は寝起きからずっと寝癖ついてるし、スカートの下にジャージ履いてるし、こんな女をナンパする男がいるわけねーだろ。なんて思いながら怪訝そうに眉を寄せる私の視線に気づいたみたいに「その格好なら大丈夫そうだな」と、少しだけ意地悪そうに笑った。私は少しだけムッとしながら『今日は女らしくねえからな』なんて少しだけ不機嫌そうに答えると、藤真は私の言葉に小さく笑って「ま、待ってたし送ってくわ。ついでに」と、なんのついでなんだか分からない言葉を口から漏らして歩き出す。私はなんでだよ、なんて思いながら藤真の後をついていくと、藤真は「そーいや、そっちはテスト期間いつなわけ?」なんて聞いてくるもんだから『週明け』と短く答えると、「お、俺んとこも」なんて言って少しだけ黙った。私は藤真の言葉に、そーなんだ。って事は透もか。勉強、教えてもらえるかな。なんて考えながら、この前の出来事を思い出して頭を左右に少しだけ振っていく。私はあの日以来、ずっと透を避けていた。ずっとって言ったって、2、3週間くらいだけど...。今まで喧嘩した事はあっても、口を聞かない日なんて1日か2日くらいだったし、ここまで透と話さないのは初めてだから、キッカケがないと透と話ができない私はうーん、と考える様に眉間に皺を寄せていった。テスト勉強を一緒にやろう、と言って仲直りをしようか。いや、仲直り?なんだろうか...透があんな事しなかったら、私達は今まで通り...幼馴染で親友だったのに。なんて頭でグルグル考えているうちに、はぁーっと長いため息が私の口から漏れていって、藤真が「元気ねーじゃん」と私の肩を肘で小突いた。






『色々あんだよ』


「頭悪いとか?」


『失礼すぎるだろ!』


「...」


『無視すんじゃねーよ!?』


「お前...土日暇だったら...テスト勉強一緒にやんねー?」


『は?』


「勉強、教えてやれるかもしんねーし」


『え?い、いいの?』


「お前のが頭良かったら教えろよ。ありえねえと思うけど」


『やっぱり藤真って失礼だな!』







バシッと肩を叩くと、藤真は「怪力女」なんて言って眉を寄せて笑うから、私も『非力男』と口から漏らしながら思わず笑みが溢れた。結局藤真に家の前まで送ってもらって連絡先を交換した私に「じゃ、明日な」なんて手を振って帰る藤真に手を振り返して、藤真を見送った。その後家に入ろうとした時に私の名前を呼ぶ声が聞こえて、声のする方へ顔を向けると透がベランダから顔を出しているのが見えると、思わず『あ、透』なんて間抜けな声が口から漏れる。同時に藤真と居たところを見られたのかと思って、また何かされるんじゃないか。なんて考えが私の頭をよぎった。でも今日は化粧もしてないし、スカートもいつも通りだし、下着だってつけてる。なんて考えていたら「そっちもそろそろテストだろ?一緒に勉強するか?」なんて、今まで話してなかったのが嘘みたいに普通に話しかけてくる透に、沈んでいた気持ちと今まで考えていた馬鹿みたいな事が消えた気がして『する!後で透の部屋行くわ』と声を張り上げる。透は小さく笑って「ちゃんと玄関から入ってこいよ」なんていつもみたいに注意してきて、私は『わかってるよ!うっせーな!』なんて口を尖らせながらグッと眉を寄せと、透はいつも見たいに笑うから、私も思わず笑ってしまった。





















『わっかんねー...』


「お前なぁ...」





「この前教えただろ」と睨みを効かせながら私の事をチラリと見た透が、数学の公式を私のノートにさらりと書いた。そのせいでふわっと香った透の香りが私の鼻にやけにまとわり付いた気がして、なんだか顔が熱くなる。ドキッと早くなった心臓の音が煩いくらいに耳に響いて、思わず透からスッと離れると、透は「聞いてんのか?」なんて言いながら私に顔を向けていく。いやいや、なんか近くないか?なんていつもだったら気にしないはずの距離感を気にして、何も言えないまま私は透を見つめた。透は「久しぶりに勉強したから知恵熱でも...」と、言いながら私のおでこに手を寄せる。その瞬間に『やっ!』なんてバシッと叩いてしまった透の手が、そのまま宙を舞ったかと思えば私の手首を掴んだ。





「そんなに、勉強したくないのか」


『あ、違う...悪ィ...』





言いながら透から顔を逸らすと、透は「言いたいことがあるなら言え」なんて少し怒った様な声でそう言うと、私は『何でもないって』と目を泳がせた。何でもない、なのにどうしたんだよ、いつもの透なのに...。透が掴んだ手首がやけに熱くて、私の心拍数が上がっていく。透に触られた時の事を思い出してしまう私の頭が、沸騰するみたいに熱くなって『やっぱり、1人で勉強する』と言って透の手を振り払った。





「は?1人でできないから俺の家きてるんじゃないのか?」


『あっ...明日は藤真と勉強するし!』





『透に教えてもらわなくても大丈夫だよ!』と私は声を荒げた。透は私の言葉に一瞬眉を寄せて「藤真の家に行くってことか?」なんて低めの声で問いかけると、振り払った私の手首をまた掴んで「男の部屋に行くってことがどう言うことなのか、わかってるのか?」と続けるように言ってから私を見つめた。私は透の言葉に下唇を噛んだ後に『藤真だし、大丈夫だろ』なんて言いながら透から視線を逸らしていくのに、透はそれを許さないみたいに私の腕をグイッと引いていく。そのせいで透の身体に密着するように倒れ込んだ私の背中に透の手が回って、私はこれからされる事を期待するみたいに身体が熱くなっていった。透は私の耳元に顔を寄せると「藤真は俺とは違うって言いたいのか?」なんて囁くように問いかける。私は耳にかかる透の吐息のせいで、この前の出来事を思い出していくようにゾクッと私の背中に何かが走っていくのを誤魔化すみたいに『当たり前だろ!』なんて透の胸を力強く押した。透は私の言葉に小さく笑ったかと思えば、スルリと背中から手を移動させて制服の下に履いているジャージをずるりと下ろしていく。私は驚いて透の名前を呼びながら『やめろ!』なんて声を荒げるのに、透に掴まれた手首が固定されたように動かなかった。また、あんな事するのかよ。なんで...。なんて頭の中に浮かんでいく疑問が、私の内腿をなぞった透の指で消えていくみたいに私の頭がこの前の出来事で埋め尽くされていく。






「藤真にこんな事されたら...どうするんだ?」


『しねー...って...ッ...』


「花子から、誘ったりするかもな...」






「気持ちいい事が癖になってきてるだろ」なんて囁いてきた透の言葉に図星を刺されたみたいに私の顔がカッと熱くなって私はギュッと目を瞑った。私の内腿にある透の指がスルッと制服のスカートの中に潜り込むと、私はビクッと身体を強張らせながら小さく透の名前を呼んだ。その瞬間に私の耳に透の舌が這っていって私の口から小さく甘い声が漏れていく。ピチャッと耳の中で響くような水音が聞こえた後、透は「抵抗、しないのか?」とボソッと私の耳に吐息まじりに囁いた。私は透の胸を押している手にさらに力を込めながら『透、もうお願いだから』なんて小さな声で呟いていく。透は私の下着越しに指で秘部を刺激しながら「お願いだから、なんだ?」と私を追い詰める様にまた耳に舌を這わせた。






「ここ、湿ってきてるぞ?」


『あっ...と、おる...っ...』


「言ってみろよ。そのお願いってやつ」






「何も言えないなら直接触るからな」と、私の耳元で囁いた透のいつもよりも低い声にゾクッと私の背中に何かが走る。私は『やめろよ』なんて呟いて下唇をギュッと噛んだ。私が否定の言葉を口にした途端にスルッと下着を避けて直接触れた透の指が、私の秘部の入口をなぞって滑る様に私の秘部の突起に触れた。同時にクチュッと響いた水音と、秘部に触れる透の熱い指のせいで私の身体に電気が走った様な感覚に陥ってビクッと身体が揺れていく。透は私の耳元で「コリコリだな」と意地悪そうに小さく笑った。






『やっ...だ、めだ...っ...』


「藤真にこんな事されてそう言う態度だと、そのままヤられるぞ」


『藤真は、しねぇ...って...ッ!』


「花子は女だって散々言ってきただろ...」






「まだわからないのか?」なんて言った透が、私の秘部の突起を指で何度か擦った後に、秘部の入口に透の指がするりと滑った。そのままゆっくりと膣内に侵入してくる透の指を待ってたみたいに私の中がヒクッとヒクついたのが自分でもわかって、私は透のワイシャツをギュッと握りしめる。同時に甘くなって漏れた私の声が、震えるみたいに揺れる私の身体が、喜んでるみたいに透の指を飲み込んでいった。










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