「まだ、キスしかしてないぞ」


『あっ...ま、きく...っ...』


「ここだけでイけるような、どうしようもない身体にしてやろうか?」


『やっ、め...っ...』




熱いような牧くんの視線が私を見つめて、私は恥ずかしくなって下唇を噛んだ。牧くんに変えられていくような私の身体が、牧くんの言葉で期待してるみたいに熱くなっていく私の身体が、自分の身体じゃなくなるみたいで怖かった。考えながら目をギュッと瞑った私の下腹部に牧くんの指がおりていって、私のおへその下あたりを牧くんが指で優しくなぞる。いまだに摘まれている私の胸の突起がまたギュッと強く摘まれると、牧くんが「ここがビクついてるぞ」なんて笑みを含んだ声で言ってくる。私が下唇を噛んだまま何も言わないでいると、牧くんの手が下腹部からなぞるように私の秘部へと進んでいく。ズボンと下着の隙間から牧くんのいつもよりも熱い手が入り込んできて、私の秘部に牧くんの指が優しく触れた。秘部をなぞられる度に篭ったような小さい水音が聞こえて、私の秘部の突起が牧くんの指で軽く押されると、私の頭が真っ白になるみたいに何も考えられなくなっていく。不意に牧くんの手が私の秘部から離れていって、私のズボンと下着が一気におろされる。それと同時に牧くんが「ちゃんと座れるか?」なんて言うもんだから、私は目を開いて少し瞬きをしてから小さく頷いた。熱くなった呼吸を整えながらソファーに座り直すと、牧くんが私の秘部に顔を埋めていくのが見えて、私は思わず『いや』なんて言って足を閉じる。そんな私の小さな抵抗に「足を開け」なんて艶っぽいような、熱いような牧くんの声が私の耳に響いてるみたいだった。私は恥ずかしくなって首を左右に振るのに、牧くんの鋭いような熱い視線に耐えられなくておずおずと自分から足を開いていく。開いた瞬間に「いい子だ」と、満足そうに笑みを含んだ声で牧くんが呟いて、同時に全部見られているみたいで私の羞恥心がどんどん高まっていった。





「見てるだけなのに、ひくついてきてるぞ」


『やだっ...!』


「ほら、どんどん溢れてる」





言いながら牧くんが私の秘部に吸い付いて、私は牧くんが触れるのを待ってたみたいに甘い声を漏らしていく。何度かちゅっと小さなリップ音が聞こえた後にヌルリと熱い牧くんの舌が私の秘部を這っていくと、私の目の前がじわりと滲んでいった。秘部の突起に舌が当たっていくのと同時に、牧くんの指が私の秘部の入口をなぞっていって私の膣内に牧くんの指が徐々に埋まっていく。ただ、指を入られているだけなのに、私の目の前は電気が走っていくみたいにチカチカしていって、牧くんの指が私の良いところを擦ると同時に腰をビクッと揺らしながら弓形に反らしていった。





「今日はいつもよりも、感じやすいな」


『あっ、だめ...やっ...あ!』


「その証拠に...花子、もう中が」





「ピクピクしてきたぞ」と、牧くんの言葉で私の羞恥心が更に高まっていって、足を閉じようとして足に力を入れるのに、内腿に触れた牧くんの手がそれを許してはくれない。牧くんが私の秘部の突起を吸い上げながら指で私の膣奥を数回擦り上げていくと、私の頭は弾けるみたいに真っ白になって、絶頂を迎えていった。牧くんは「早いな」なんて言いながらヒクヒクと蠢くような私の膣内を確かめるみたいに指を動かしていって、達したせいで敏感な私の身体が、耐えられないみたいに震えていく。





『やぁっ...も、う...あっ、ああ...』


「もう、なんだ?挿れて欲しい?」


『あっ...違っ...あっ、あ...ッ』


「そうか...なら...もっとしてやらないとな」





言いながら牧くんが膣内の指を増やしていって、私の下腹部がビクッと揺れると同時に膣内の牧くんの指をギュッと締め付けていくのが自分でもわかった。擦り上げられてく私の良いところが、指先で弄られていく私の膣奥が、止めどなく漏れ出ていく私の甘い声が、震えるような身体の全てが、私の頭を溶かしていくみたいに熱くさせていく。「ソファーまで垂れてるぞ」なんて追い詰めていくような牧くんの言葉に、私の背中にゾクリと何かが走っていって、そのまま垂れた私の愛液を舐めとるみたいに牧くんの舌が秘部を這う。私は閉じれない足を震わせて、牧くんの送ってくる快感に耐えるみたいに下唇を噛み締めた。





『やぁ...やめ、て...あ、あっ...』


「花子、こんなに...俺の指で感じてるのに、やめて欲しいのか?」


『あっ...あ、や...ッ...』


「もう、いい加減認めろよ。俺の下僕だって...」


『ま、きく...あッ、あ』


「言ってみろ。花子は俺の...下僕だと」


『やぁっ、あ...そん、な...あ、ああ!』


「花子...」




艶っぽい牧くんの声で私の名前を呼ばれると、私の胸はどんどん熱くなっていって、止まらない牧くんの指で、私の良いところが擦られ続けると、もう何も考えられなくなってくみたいだった。『だめ』なんて途切れ途切れに漏らした私の言葉に、「言えないのか?」なんて更に追い詰めてくるような牧くんの言葉に私は何も言えずに噛んだ下唇を更に噛み締める。本当は全然駄目じゃ無い。駄目じゃ無いけど、私は「牧くんの下僕」と言う立ち位置が嫌だった。こんな事されてるのに馬鹿みたいって思うけど、何度も抱かれるのは、牧くんが触れてくれて嬉しいと思うのは、胸がこんなにも熱くなるのは、私が牧くんが好きだからだ。だけどこんな形で、私は牧くんと繋がりを持ちたいわけじゃない。思ってる事が溢れ出るみたいに私の視界がじわりと滲んでいって、私の鼻がツンと痛くなる。ああ、駄目。泣いちゃ駄目。牧くんが、変だと思っちゃう。なんて考えてる間に、膣内の指が抜かれていって、牧くんの顔が私の顔に近づいてくると同時に優しく私の唇を奪っていった。いつもとは違う、触れるだけのキスに何故だか私の胸はちくりと痛む。唇が離れると、牧くんが眉を寄せながら「泣くほど、嫌か?」なんて言って困ったように小さく笑った。




『ま、きく...ん?』


「俺は花子に、憎まれたいわけじゃ無いんだ」


『え?何...?』


「ちょっと待ってろ」




言いながら牧くんが立ち上がって、私は牧くんが何を言ってるのかわからないまま、牧くんが寝室に入っていくところを黙って見てた。しばらくして牧くんが1枚の紙を手に持ってきて「契約書だ」と言って私の目の前に差し出す。私は何も言えなくて、牧くんと契約書を交互に見つめていって『牧くん?』と、小さな声で呟いた。牧くんは確認するみたいに「泣くほど...嫌なんだよな。俺の下僕が」なんて言って、眉を寄せる。下僕、と言う事が嫌だった私は『うん』と小さく頷いて、続けるように『でも...』と、牧くんのことが嫌なわけじゃ無いと口を開こうとした。だけど、私が声を出す前に、紙の破れる音が響いて、私の目の前で牧くんの持ってきた契約書が2つに割れる。驚いて何も言えなくなった私に、牧くんが破った紙をくしゃっと手で握って「これで、花子を縛るものは何も無い」なんて言って私から視線を逸らした。





『え...?』


「もう、俺に無理やり抱かれなくて良いんだ...もっと喜べよ...」


『ま、きくん...なんで...』






そんな顔をするな
(嫌、だったんだろ?)






『待っ...て、牧くん!』


「悪い、今日は飲み過ぎた。後のことは明日話そう」




言いながら牧くんがリビングから出ていって、私はその場から動けないまま、くしゃくしゃになって床に落ちた契約書の片割れを見つめた。なんで?下僕って、私が言わなかったから?牧くんは私の事なんて本当に、下僕としてしか見てなかったんだ。私はこんなに、好きなのに、牧くんは私の事なんか全然...好きでもなんでもなかったんだね。牧くんに伝えられない言葉が溢れるみたいに、私の瞳からは涙が流れ落ちていった。








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