土屋淳という生き物は不思議だ。高校一年の冬、先月から海外に行った両親の知り合いと言う事で居候させてもらっているわけだが、一緒にいても何を考えているかよくわからない。






「君はあれなん?僕と居るの嫌やないの?」







不思議そうに見つめた土屋さんを私は『?』と首を傾げて、ゴクリと鳴らしながら珈琲が喉を流れていった。








『なんでですか?』







質問に質問返しする私に、土屋さんは視線を横目にずらしながら「僕だけ楽しいんかな、思って」と笑って私を見るもんだから私も釣られて笑うけどよくよく考えたらそれはまさか好意を持っているのだろうか、と顔をしかめた。









『土屋さん、それは…』







言いかけて言うのを止めた。土屋さんは私より10個も上だ、そんな事があるわけがないのだ。








『そう言えば、なんで結婚しないんですか?』








「はは、そんなん相手がいないからに決まってるやん」







笑った土屋さんは何故だかキラキラしていて胸がキュンと苦しくなった。(あれ)








「君が相手してくれてもええねんで?」








机に肘をついて左手で顔を支えた土屋さんは笑いながらそう言って「それはないやんな」って自分で突っ込んで珈琲を啜った。








『土屋さんがいいなら』






心で呟いたつもりが声にでていたようで思わず口を手で塞いだ。(やば)







「なんか君、犬みたいやな」って言ってから私の頭を撫でる土屋さんの顔が怖くてみれない。下を向いている私をよそに、土屋さんは珈琲カップを手にとり席を立つ







『あの!結構本気、なんです…けど…』







カッと顔に熱が集まって、本当に湯気が出そうな気がした。恥ずかしさのあまり珈琲を一気に飲み干してガタッと立ち上がると土屋さんの後ろ姿。







『あの!』








洋服の端を掴んで私の方を向かせると、顔を真っ赤にした土屋さんが目をそらした(え…)








『顔赤いですよ』







「君が、変なこと言うからやん」








ラブストーリーは突然に
(そんな映画あったよなぁ)