「じゃあまたねー!」
結局そこそこの盛り上がりを見せて合コンは3時間程度話して解散。解散したと言うかなぜか男女3組に分かれての解散になったと言った方が正しいかもしれない。意気投合したでしょ、とかなんとか言われて俺は花子ちゃんとポツンと店前に残された。
『んー、どーする?』
「どーするって...帰る?」
俺も明日仕事やし、なんて思いながら頭をかくと花子ちゃんが俺を見つめてた。なんや、ほんま淳子に似とって可愛いわ。顔だけ、ほんま顔だけは可愛いわ。やってこいつ...
「つーか、花子ちゃんって演技しとるやろ」
『え、』
「最初の方意味わかれへんかったんやけど、話しとったら花子ちゃんってほんまは頭ええな。思うて、さ」
言い終わった途端に花子ちゃんがしばらく黙って、あははって笑いながら俺の背中をバシバシ叩いた。『そっか、バレてたんだ。演劇サークル入ってて、今日は同じ大学の子に頼まれたんだ』なんて涙を拭うみたいに人差し指で目尻を拭う。あー、やっぱな...なんて思ったのも束の間。花子ちゃんが俺の手を取って『秘密にしてもらう代わりに何すればいい?』なんて言うと俺に体をピタリとくっつけた。あれ、これ誘われてるやん。
「あかんわ、そう言うの好きやないねん」
『あはは、南さんはどー言うのが好きじゃないの?』
「....それや、その乳、俺に当てるんやめてくれへん?」
甘えられるんが1番嫌やわ、なんて呟いて俺は距離を取るみたいに花子ちゃんから少し離れた。こういう奴は痴漢されてないけどされました!みたいなこと言うんやろな。
『じゃあどうしたら秘密にしてくれるの?』
「何もせんでええわ、どーせもう会う事もないやろうし」
『ふーん』
花子ちゃんは俺の顔を舐め回すようにジロジロ見てから『あー、ホモか』なんて言って笑う。「ホモちゃうわ!」って花子ちゃんの顔を見るとお酒を飲んだせいか赤らんだ顔に少しドキッとした自分がいた。花子ちゃんが可愛いわけちゃう。顔が、淳子に似てるせいや。なんて自分に言い聞かせるみたいに、花子ちゃんとの距離を保ったまま、俺はハァってため息をついた。
『ホモじゃないならさ、私と今日しようよ』
「は?なに?」
『セックス、しようよ』
「お前なぁ...」
「女の子なんやから体大事にせえよ」なんて真面目なこと言いながら俺は内心ドキドキしていて、花子ちゃんの顔から目を逸らす。
『それとも、女は抱けないの?』
「ほんま...なんやねんお前...」
あーもー、頭痛いわ。なんて言いながら俺は目頭をギュッとつねった。花子ちゃんはそんな俺のワイシャツをぐいっと引っ張って『ホテル、いこ』なんて言って進んでいく。なんでこんなにホテル行きたがるんやろ、ええわもう。内心そんなことを思いながら、俺は花子ちゃんの進む方向に合わせるように足を進めた。