「部長、今日はごちそうさまでした」


「あはは、普段飲みに行けてない分、こう言う所では上司の役割しないとな。でも南も田中も本当お疲れ様、今日は疲れたろ。ゆっくり休めよ」


『はい!本当にごちそうさまです。部長もお疲れ様でした。おやすみなさい』


「おやすみ」




居酒屋を後にしてホテルに着いた俺達は、廊下で少し話してから各々部屋に入っていった。スーツのジャケットを脱いでネクタイを緩めてから、ベッドに飛び込むみたいに寝ころんだ俺は、酒のせいでボーっとする頭で今日あった出来事を思い出すみたいに目を閉じる。ふわふわ気持ちいような感覚と、グラグラ揺れて行くような脳内が、酷く酔っているんだと自覚させていく。飲みすぎたな。なんて思った俺はベッドから無理やり体を起こして部屋を出ると、エレベーター近くの自販機に向かった。歩きながら今日の部長と田中の態度がいつもと違うことをずっと考えていて、なんで、部長は急にあんなに田中の事を気にするようになったのか、田中へのアプローチも結構すごい。それに田中も満更でもなさそうだったし、昨日から俺に対する態度がなんだか変に余所余所しい。ま、田中はいつも変やけど。なんて酔った頭で考えても全然考えがまとまらなくて、俺は自販機で買った水をごくりと飲み込む。深呼吸するみたいに息を吸ってから自分の部屋に向かう途中で、田中が部長の部屋から出てくる所が見えた。その姿に一瞬固まった俺は、田中の横顔を見て何故だか胸がチクリと痛んだ。なんで、そんなに顔、赤くなっとるん?なんで、部長の部屋から出てきたん?つーか、なんで胸元、そんなに開いてるんよ。酔ってるせいか、嫌なことばかりが俺の頭をよぎって、急いで田中に近寄ると『あ、南主任…』なんて田中の潤んだような瞳と目が合った。俺はこの潤んだ瞳を知っている。キスした後に見せる、俺だけに見せているはずの、上気したような田中の顔だった。逆撫でされたような嫌な感覚が走っていって、俺は何も言わずに田中の手首を無理やり掴んだ。酔ってぼーっとしてるはずなのに、それ以上にイラついて、血が上っていくのが自分でもわかるくらいに頭がカッと熱くなる。




『南主任?どうしたんですか?あの…手、痛いですよ…』


「お前、何やっとるんよ」


『え?』


「部長の部屋で、何、やっとったん?」


『何、って…』





振り向いてそう言うと、田中が俺から視線を逸らしていって、その反応に余計にイラついていく俺は、何も言わずにそのまま自分の部屋に田中を引っ張っていく。黙ってついてくる田中にも、なんだか酷くイライラするのと同時に、何故だか酷く胸が痛んだ。部屋に入ってすぐに田中をドアと俺の間に挟んで、押し付けるみたいに口づける。なんで、俺以外に、あんな顔しとるんよ。いつも、俺だけに見せとる顔やろ。なんて言葉が言えなくて、俺はそのまま田中の口の隙間から舌を滑り込ませる。隙間から漏れていく厭らしい水音と、田中の甘い声が少し部屋に響いて、俺を熱くさせていくのに、いきなり俺にキスされて、抵抗もしない田中になんだか酷くイラついた。




「お前、なんやねん」


『…み、なみ主任…?急に…』


「ほんまは、俺以外でもええんやろ?」


『え?な、何言って…ッ!』




田中の首元に顔を埋めようとして、首についた赤い痕が目に入る。「ほんま、お前…」言いながらため息をついて、田中の腕を引っ張るとベッドまで無理やり連れていく。そのまま強引に押し倒すと、いつも通り赤い顔をしている田中と目が合った。戸惑いながら俺が掴んでいる手に力を込めた田中が『どう、したんですか…南主任』なんて眉を寄せて、俺は嘲笑するみたいにハッと笑って田中の手を離すと、確認するようにして田中の首にある赤い痕に指を這わせていく。




「どうした、ちゃうわ。こっちが何やっとったか聞きたいわ」


『え…?』


「部長の部屋から出てきて、赤い顔して、ここに、こんな痕つけて…お前が何やっとるんよ」


『あ、の…私…ッ…!』




田中が言い終わる前に口づけて、無理やり舌を絡めとると、甘くなっていく田中の声に、俺の背筋にゾクリと走っていく。酒のせいでうまく回らない思考が余計回らないみたいに頭に血が上っていくのと同時に田中の熱くて甘い吐息のせいでどす黒いような俺の感情が溢れ出るみたいに「この前まで処女やったくせに、もう男の味占めたん?」なんて冷たい言葉を口から吐いた。田中が驚いたような顔をして『違います』なんて否定した言葉は俺の耳になんか届かなくて、少しはだけた田中のブラウスのボタンを外していくのと同時に、田中の胸元に唇を寄せていく。チラリと田中の顔を見るように移した視線の隅に、嫌でも田中の首についた赤い痕が見えて、田中の胸元に思わず噛み付いた。『いたっ!』なんて声が聞こえて、俺は小さく笑いながら「今までは痕、残さへんようにしとったけど...もうええよな」と田中の首の赤い痕を指でなぞっていく。噛み付いた場所に少し舌を這わせて徐々に下腹部に唇を落としていくのと同時に胸元に視線を戻すと、先ほど噛んだ田中の胸元に俺の歯形がついているのが見えた。自然と口角が上がっていくのがわかって、なんだか心も満たされていくような気さえする。





『み、なみ...主任...』


「なんや」


『今日は、その...隣に部長居ますし...』


「この状況で、普通それ言わへんやろ」





「ほんまにアホやな、お前」なんて言いながら田中のストッキングを下着ごと一気に下ろして、秘部に指を這わせると田中のソコは驚くほど濡れていた。俺は田中の秘部を指でなぞりながら「ここも、部長に触られたん?」なんて言いながら田中の秘部まで顔を下ろす。もうすでに俺の指を簡単に飲み込みそうなほどに入口をひくつかせている田中の秘部に指を這わせ続けると、田中は『そんな...してないです』と、涙まじりの声で呟いた。






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