あー‥‥‥やっぱ平日昼間のテレビって面白くないわ。
ぷつりと電源を落とすとびーんと耳鳴りがした。

目を閉じてソファーに寄り掛かって息を吐き出す。

「どうしたんですか?ため息なんてついちゃって。幸せ逃げますよ」

「ぱっつぁん、私は幸せを撒き散らしてんの」

「ウイルスみたいですね」

目を開けると割烹着を着たまんまの新八が台所に入っていくところだった。
銀ちゃんはお給料のほかに家事代も出すべきだな、うん。

前に新八本人にも言ったことがあったけど、彼は「僕が好きでやってるからいいんです」と笑った。損な性格、お人よし。

今聞こえる水音は大方皿洗いでもやってるんだろう。

「新八くーん、代わるよ」

台所をのぞくとやっぱりがちゃがちゃと皿洗いをしていた。ほんとに銀ちゃんは以下略。

「あ、いいですよ。もうすぐ終わりますから」

はにかむように笑う。

「‥‥‥」

「なんですかその目は」

「いや、」

なんでモテないのかな、と思って。

とは聞けなかった。
多分地味なのが原因だよね。

「っつ、」

「どうしたの?眼鏡でもわれた?」

「いや、指押さえてるのになんで眼鏡につながるんですか。あかぎれですよ、あかぎれ」

「あか、ぎれ」

それは全国のお母様方がなるもので、彼ぐらいの男の子がなるものじゃない、はず。

「‥‥‥」

「あ、春さん?」

急いでカバンを取りにいって、中をごそごそと探る。

「どうしたんですか?」

「これ、あげる。商店街の福引きで当たったやつだけど」

「ハンドクリーム‥‥‥ありがとうございます」

また、はにかむように笑う。

「でも、」

「でも?」

「春さんから貰うと、なんか使うのもったいなくなっちゃいますね」

「‥‥‥」

「‥‥‥なんですかその目は」

ほんとうに、なんでモテないんだろう。




地味だからか



back


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -