坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  01



<鳩羽町・駅ホーム>


俺――……坂城正紀は、小田と約束した一時間も前に鳩羽駅・駅ホームに手持ちぶさたでいた。


昨日、小田真姫から再度連絡があり、集合場所と遊ぶ場所が変わった。


「……鳩羽で、か」


息を吐くフリをして、ため息をつく。


どうにも志良森には遊ぶ場所がないらしく、『やっぱり鳩羽で遊ぼう』となったらしい。


駅のホームにいるのは、日曜日とあって外にカップルがいっぱい居るからだ。


なんか虚しいだろう、そこで待っているのも。


今日……鳩羽に来るのは、男女合わせて4人。小田と俺を合わせて6人だ。Wデートならぬ、集団デート……。

激しく遠慮したいが、小田のお願いに首を横に振るわけにはいかない。


「……っ」


俺は頭がフラフラするのを感じた。


思わず、額に手をあてる。


昨日も良く眠れず、疲労と寝不足で死にそうだ。一時間も前に駅前に来たのも、家にいると眠りそうで……約束の時間に遅れることを危惧したからだ。


……まあ、ファ●ト一発飲んできたから大丈夫だろう。たぶん。


腕時計で時間を確認し、もうすぐ来るな……と思った時……。


「すいませんー!」


風が吹き、フワッと髪が揺れた。


――……違う。風が吹いたんじゃない。


何かのスポーツのユニフォームを着た中学生くらいの少女が、人と人の間を縫って走って行く。


反射的に注意していた。


「あぶな……駅のホームは走るな!」
「すみませんでした!!」


少女はこちらを見ず謝り、「遅刻じゃあああああ―――!!」と叫びながら、ホームを走り抜けて行った。


四皿目



「なんて常識のない奴だ……」


顔をしかめ、少女が走り去っていった方向を睨む。一様に人々が驚いた顔をしていた。だが、すぐに個々の向かうべき場所を思いだし、足を急がせた。


急いでいたのは分かるが……余裕を持って行動しろ。


駅は公共の場だ。駅のホームを走って、誰かに怪我をさせたら、どうするんだ。


憤慨しながらも、首を傾げていた。


少女の謝った声……なぜか聞いたことのあるような声だったが……気のせいだよな……?


「さ……正紀」


その時、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


はっとして振り向いた先には、清楚なワンピースを着た小田と……4人の男女が居た。





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