03
ふぅ、と息を吐く。
談笑……俺は喋らないが、小田や晋太が話す。
「真姫、彼氏かっこいいな!」
「ありがとう、晋太」
「本当。居るなら早く紹介して欲しかった」「まあ、里奈に取られちゃ困るし?」
「誰が取るって!?」
「じょーだんですぅ」
人の輪の中で笑う小田を見て、ホッとした。小田は中学時代とは違う……。ちゃんとした友達が出来たんだと、安心した。
「坂城くんってさぁ……」
「なにか……」
翔が話しかけて来た。……話し方もチャラいな……。
「鳳有の生徒会長やってるよなぁ?」
「……まだ二ヶ月くらいですけど」
……良く知っているものだ。小田には言うのを忘れていた。小田がぴくっと隣で反応する。
美春が驚き、「え!? 私たちと同じ年だよね?」と確認を取るように言う。
「はい。まだまだ、ですが」
「坂城くんかたい!」
晋太が「タメならタメ口で良いじゃん!」と笑って言う。
……タメ口はあんまり好きにはなれないのだが。良く自分の口調は「偉そう」と言われるし、それなら敬語の方が良いだろう?
何も言えず黙っていると、小田が助け船を出してくれた。
「正紀はこれが自前なんだよ。まあ、ちょっと緊張してるかも」
「……自前って」
確かに元々だが……。
小田の言うことに晋太は納得したようで、「元々ならしょーがない!」と笑った。
ケーキも食べ終わった頃、晋太が翔に話しかける。
「翔、次って映画だっけ?」
「んー……映画、俺、寝るかもなぁ」
翔がダルそうにそう言い、晋太がカラカラと笑って問題発言をする。
「どうせエロゲでもしてたんだろ〜?」
空気が凍り、翔の「んなわけあるかアホ」という否定で晋太は里奈に叩かれた。
「アホ晋太!! そういうこと言う?!」
「ったー……だってさ〜」
「だってじゃない!」
里奈が晋太をバンバン叩く前で美春が首を傾げていた。
「えろ……?」
「美春ーケーキあげる」
「真姫、良いの?」
美春はそういうものの知識はないらしい。真姫が巧く誤魔化していた。
というか……
「次、映画?」
「おー! ハ●ポタ最終章!」
「……、」
眠いのに疲れているのに……真っ暗な映画館……たぶん暖房もついているだろう。
……確実に死んだ、と思った瞬間だった。
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