坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  02



<ケーキ屋・ブールメ>


小田と他四人と合流し、自己紹介……という流れかと思ったら黒髪で横髪が長い男子がマイペースに「腹減ったからブールメ行こうぜー」と言った。立ち話もなんだ、ということになり、ブールメに移動した。


それぞれケーキや飲み物の注文をした後、流れで小田が俺かを紹介をする。


「えっと、わたしの彼氏で坂城正紀。鳳有高校に通ってて、鳩羽に住んでる」
「お……真姫から聞いてます……よろしく」


ひとつ言い忘れていたが、小田と俺は付き合ってるということになってるので、今日だけ名前呼びになった。


慣れず、小田と言いそうになるがな……。


「へぇ」とさっきマイペースにここに来たいと言った黒髪が感心したように言う。


「鳳有って可愛い子いっぱいじゃん!」
「アホ!」
「いたっ」


その彼女なのか、髪をツインテールにしている女子が黒髪を叩く。


「彼女の前で可愛い子いっぱいなんて言う!?」
「言う! 鳳有の学祭お前も行っただろ? ミスコンの一位滅茶苦茶びじ……」
「晋太のアホ!!」
「りーちゃん拳!?」


目の前で喧嘩をし始めた二人を見てどうすれば良いか分からない。


「りーちゃん、しんくん、坂城くんが困ってるよ」


それをおっとりとした子がいさめた。雰囲気もふわふわした感じだ。


「あ、悪いなあ。俺は晋太(しんた)! 隣が里奈(りな)。俺の彼女」
「紹介が雑すぎ!」
「良いだろハニ〜。今日一日一緒なんだから、俺たちのことわかるって!」
「アンタは適当過ぎるの!」


里奈は容赦無しで、晋太をバンバン叩く。


なるほど。晋太というやつはお調子者で里奈がそれをおさめるか役か。


どちらもフレンドリーで、「よろしく」と言ってきた。


そして次に口を開いたのは、おっとりとした子だった。


「私は美春(みはる)って言います。私の隣に座ってるのが、恋人の翔(しょう)」
「……よろしく」
「仲良くしてね」


ニコニコと悪意のない笑顔を浮かべる彼女と、翔という少しチャラく不良が入ってる男……。


コイツは合流した時からずっと俺に、不躾な視線を向けてきた。


たぶん、小田を狙ってるのはコイツだ。


格好は黒を基調とし、腰パンにジャラジャラうるさいアクセサリー……。


苦手なタイプ……。というか、注意したい。腰パンなんて格好悪いだけだろうに……。


ズボンを上げるか下ろすか(大変なことになるが)どっちかにしろ……!


人のファッションにどうこう言うつもりはないが、絶対こういう奴は、学校でもだらしない。


事細かに言いたい……。抑えろ俺……!


そのとき、注文したケーキや飲み物が運ばれてきた。



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