坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




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俺は、ぎこちなく小田に挨拶を返す。


「久しぶり、だな」
「うん。あんまり変わってないね、坂城」


そう言って、彼女は、笑った。


二年前と変わらない笑顔。


それにホッとした自分。


小田が、二年前とあまり変わっていないことに酷く安心した。


「お前は――……髪の長さと色……少し、痩せたか?」
「ん。まあ、色々ありまして」


二年前は、髪の色が綺麗な栗毛だったのに、今は黒だ。染めたのか、と聞く。


「まあね。イジメ対策ってやつ? まきちゃんは賢く生きることに決めたのです」


口調は軽かったが、イジメ、と聞いて心配になる。


「イジメられてるのか……?」
「全然! むしろ、楽しいよガッコ。みんな良くしてくれる。目立つの好きじゃないし、茶髪だと目立つでしょ」


楽しい、と聞いて安心する。だが、俺はあの地毛の栗毛が好きだったのだが。


それが、スルッと言葉に出た。


「お前の髪色好きだった」
「ふふ……本当相変わらずだねえ、坂城。歯の浮く言葉が似合う」


彼女は、そう言って、嬉しそうに笑い、「ありがとー」と軽く言う。


そして、パンッと手を叩いた。


「まあ、思い出話はあとで良いからさ、"お願い"聞いて貰っていい?」
「――……ああ」


神妙に頷く。彼女は、そんな俺を見て「そんな難しい話じゃないからさ、リラックスリラックスー」と茶化す。


「リラックスって何か違わないか?」
「良いの。力抜いて話そうよ」
「……ん」


俺は、彼女の言う通り、肩に力が入っていた。久しぶりに会う彼女と、"お願い"の内容が気になっていた。




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