09
そして、今日、小田の"お願い"が果たされる。
何を言われても、無理難題を突き付けられても、俺は応えるつもりだ。
それが、二年前、彼女を傷つけた代償。
未熟な自分が、引き起こした馬鹿なことについてのケジメ。
俺は――……まだまだ、未熟で幼稚だが……な。
過去を思い起こしていると、駅に着いた。
まだまだ街頭に明かりが灯り、仕事帰りのサラリーマンが家路に着く頃。ベンチには、補導されそうなカップルが数人。そのカップルとは距離を置き、小田を待った。
プルプル……
携帯が鳴る。小田か? と思ったが、彼女は、俺の携帯番号を知らない。
見ると『澤北秋穂』――……メールだった。
「なんだ……アイツか」
ひょんなことから知り合い、今はメル友という微妙な位置にいる、少女。
定期的に来るメールは、おかしなものが多い。
そういえば、最近――……この前会った辺りから、メールが途絶えていたな、と何となく思い、メールを開いて見る。
『澤北秋穂→坂城正紀
坂城さん!!
今日の金●ロードショーは、『チャー●ーズ●ンジェル』なのですよ!
メチャクチャ面白いので、是非!
P.S.えろカッコいいキャメロンに惚れろし(/Д\)キャー』
「……相変わらず、変なメールだ」
「どんなメール?」
「おわぁ!?」
耳元で声がして、驚いた。横にのけ反り、携帯を慌てて閉じる。
「チャー●ーズ●ンジェル……? あぁ、あの美女三人が出てくるハリウッドのアクション映画ね」
彼女は、今日放送するんだ。録っておけば良かった、と残念そうに言う。
「――……小田真姫……」
「やほ。坂城ー」
彼女――……小田真姫との、二年ぶりの再会だった。
prev|
next
しおりを挟む