坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  03



生徒会室に残っているのは、俺と平野だけだったが、そのうち補習や部活に顔を出し終わった人達が、集まってくるだろう。


平野から渡された書類にも目を通し終わり、帰ろうとした。


そこで、ふとあることに気づく。


「平野、俺の仕事まですると遅くなるぞ? 良いのか?」
「どういう意味ですか?」
「神人と一緒に帰るんだろう?」


毎日お熱いことで、神人は律儀に生徒会が終わるまで、平野のことを待っている。


いつもなら、6時過ぎに終わるだろう生徒会活動も、俺の仕事までさせてしまっては、七時を過ぎてしまうだろう。


「今日は、帰らせましたよ。たぶん、遅くなるからって言いましたし」
「神人、待ってたぞ」
「っ?」


平野は怪訝な顔をする。なぜそんなことを俺が知っているのか、というふうに。


「職員室に行ったとき、教室に忘れ物をしたのを思い出して、教室に行ったんだ。そしたら、D組にいた」


一人、教室に居てぼぅっと窓の外を見ていた。


気になって「神人、下校しないのか」と聞いたら、驚かれ「え、あ、めが、ふう、違う……えーっと……生徒会長!」「……名前覚えろ……」というやり取りをした。


俺の質問には、笑顔で「んぁー人、待ってる」と嬉しそうに答えた。


そう平野に伝えると、顔を赤くさせた。


「〜〜〜!

あの人は……っ!」
「まあ、お前も遅くならないうちに帰れよ」


ヒラヒラ手を振って帰ることにする。後ろから「……そう言われたら、帰るしかないじゃないですか……」と恨みがましく言われたが、聞こえない振りをした。



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