01
ああ、もう死ぬんじゃないか、と何度も思ったことがある。
死んだことはないが、本当に死ぬ思いをした。
主に朝義からの飛び蹴りとか朝義との喧嘩とか朝義とか朝義とか……。
だが……精神的にここまで追い詰められたことはなかった……。
「はあはあ坂城京都は楽しかったが、お姉さまやお前がいなくて寂しかった! 禁断症状が出るほどになっ! ってことで再会のキスを……」
「こ、こないでくださ……っ」
手を意味不明にわきわきしながら、俺に近寄る魔の手……。
ハタ迷惑な先輩……歩く変態こと、篠塚華夜先輩。
篠塚先輩は京都から帰って来て、俺にまとわりつくようになった。
それはもう、毎日。
京都で何があったんだ……!?
もう今日は我慢出来ない……!
ガシッ! と捕まえた、と思われた時……腰に抱きついてきた篠塚先輩に自分でも惚れぼれするくらい綺麗な回し蹴りをくらわす。
三皿目
「あああああああああ!!!!!
離れろ、このド変態いいいいいいいいいいいい!!!!!!」
「ぎゃうっ! そう、そうでなくては! もっと私を罵れ……侮辱した目で見ろ……!」
床ではあはあ息を荒くする篠塚先輩を見て、両手で顔を覆った。
「もう泣きたい……」
俺――……坂城正紀は、今日も苦労は絶えないようだ……。
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