03
「本題はここからなんだよ。あの篠塚(ヘンタイ)が、生徒会長になりたい理由が、生徒会と風紀が統合されるからなんだ」
鮎川生徒会長は、自然と篠塚先輩をヘンタイと呼んだ。
鮎川生徒会長は、礼宮先輩のことで篠塚先輩を大分、嫌っていたからな……。
まあ、それも誉め言葉になってしまうのが、あの人なんだけど。
それよりも、だ。
「風紀と生徒会が統合?」
そんな話しは、一切聞いていない。
「まだ生徒には発表されていません。少子化と……私と静のせいです」
礼宮先輩と鮎川生徒会長のせい……?
そう説明する礼宮先輩に異論を挟んだのは、鮎川生徒会長だった。
「アリアちゃん、だからそれは僕が悪い……」
「あなたの安い挑発に乗った私にも責任はあります。あなただ」
「だから、僕が言い出したのが」「いいえ、私が!」「僕が!」
言い争いをし始める二人を止めたのは、藤野委員長だった。
「いい加減にしろ、アリア、静! 庇い合いなんて、面倒くさい。卒業時まで後輩にみっともない喧嘩を見せつけるのか?」
ピシャッとそう言い、二人を睨み付ける。
「みっともないって……」
「見せつけてなんて……」
「みっともない。見せつけてる。坂城には俺が説明するから、頭冷やせ」
二人は、口を揃えて反論しようとするが、冷たくあしらわれた。
俺は、驚いたような、感心したような、目で藤野委員長を見る。
「藤野委員長も怒るんですね」
「アリアと静にはな。止めるのは、俺しかいないだろう?」
「でも、二人が委員会で喧嘩し始めても、放っておくじゃないですか」
「あれは、コミュニケーションの一環。夫婦喧嘩とも言う」
俺は、藤野委員長が、涼しい顔をして、そんなことを言うものだから、ポカン、としてしまった。
礼宮先輩と鮎川生徒会長は、真っ赤になりながら、怒りと恥ずかしさをこめて「ひかりっ!!」と藤野委員長の名前を呼んだのだった。
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