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しかも、誰か男と思われる奴と一緒だ。
―――……何よりまず、怒りが勝った。
(―――……信じられない)
人を二時間待たせておいて、暖房の効いた店内で自分は優々とケーキを食べているだと?
何の連絡も無しに、約束を破り、別の奴とお茶してるなど……信じられん。
秋穂のことはほとんど知らない。とにかく馬鹿でKYで蛙が大嫌いなことしか。
それでも、少しは信用していたつもりだった。
―――……メールを重ねるうちにほだされたか。
―――……人を信じるとろくなことがないというのに……。
―――……アイツだって俺を……。
失望、その言葉が浮かんだ時、ブルーメの店内にいた秋穂と目が合う。
すぐに逸らそうとした。
だが口パクで何か言っている。
「?……!」
た す け て
そう、ハッキリと言っていた。
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