坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




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はぁ、とため息をついて顔を上げる。


なんで秋穂を探すかって……?


「……そんなの、困ってる奴は見捨てておけないだろうが」


ただの自分の性分だ。


困っている人がいたら、助ける。
不良に追いかけられていたら、探し出して助ける。



どっちにしろ、大差はないだろう?



すべての人は助けられない。


けど、見てしまったもの、知ってしまったこと、できる限りで助けたいと思うのはエゴか。


そんなのもんエゴだろうがなんだろうが、正しいことは押し通す。



正しいと思うこと、それが俺の正義。



「……泣いてたら困るしな」



そう呟いて、俺は走り出した。






**


「探せるか、クソッ!」


俺は一時間は走り回った後、駅前に戻ってきていた。


息は切れ、心臓もバクバクで体力の限界を感じていた。


(ちっ……意外に鳩羽が広いことを知った……)


西区だけでもこの様だ。


鳩羽町全体を探すにしても、広すぎる。


「……どこにいるんだ、秋穂……」


どこかで泣いていたりしてないだろうか……。


一応中学生で俺より二歳年下だ。


しかも女だし、不良に追いかけられて、たら、……



「――……見つけた」



あっさりと。



俺はブルーメにいる秋穂を見つけたのだった。



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