08
俺は先輩にその話を聞き、駅前を走りだした。
「あ、おい、坂城!」
「すみません先輩! また学校で会いたくありませんがまた!」
挨拶もそこそこに急ぐ。
『いやな、助けようとしたんだ。けどものすごいスピードで叫びながら走っていったもんで助けられなかったんだ。ん? 特徴? うーん……あ、髪にアホ毛はえてだぞ。あともさもさしてたなあ……。背がお前の肩くらいで……』
この時ばかりは、篠塚先輩の記憶力と変態ゆえの一瞬で顔を見極められるという特殊スキルに感謝した。
『あとバカっぽかった』
悪い秋穂。
馬鹿でお前だと確信した。
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