坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  03




それは、中一の頃。


歩く変態こと篠塚華夜先輩に目を付けられ、俺はあの人に、ファーストキスを舌まで入れられて奪われた。


しかも、なぜか気に入られ毎日追いかけられる日々。


まだ残っていた純粋な心は、あの人のせいで砕かれ壊され粉々にされ、ひねくれた。



もうどうでも良い……。俺なんて……。


と、卑屈になり、手当たりしだいに告白してきた女子と付き合うようになった。


あの人は、カップルになったら手は出さない主義なので好都合だったからだ。


まあ、付き合っても二週間や一ヶ月で別れることが多かったが。


勿論、フラれたのは俺で。


『坂城君ってつまんない』と、理由は同じだった。


さして好きでもなかったし、来るもの拒まず、去るもの追わず……を貫いた。


結局、人は俺の顔しか見てないのか、ともっとひねくれた気がする。


よくは分からないけど、別れたはずなのに別れてないやら復縁したいやら、俺が上手く処理していなかったせいで三角関係など……泥沼も経験した。


さすがに中三になって、これではいけないと思い直し、付き合った女子に謝罪して、すべてクリーン、ゴタゴタも片付けた。


それから、女子からの誘いはことごとく断っている。


もう色恋沙汰は御免だし、一人が一番気楽だと開き直った。


以上の理由で俺は『女』というカテゴリーに属する人の誘いに過敏になっている。






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